著者の所属・活動拠点の国は、韓国です。

掲載誌:Journal of Food Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

スナック菓子は日常の食生活に欠かせないものになる一方で、健康や栄養への関心から、機能性のある成分を含むスナックへの需要が高まっています。研究チームは、米を主原料にしたスナックに着目しました。米スナックは小麦を使ったスナックに比べ、物性や機能性成分、味わいについての研究がまだ少ないと著者らは指摘しています。

大麦は、抗酸化作用をもつとされるフェノール化合物などを多く含む穀物です。ただし、穀物のフェノール化合物の多くは細胞壁の繊維と結びついた形で存在し、そのままでは体内で消化されにくいとされます。著者らは、焼くなどの加熱でこうした結合型の成分が遊離しやすくなるという先行研究を踏まえ、大麦を加えた米スナックをつくりました。研究の目的は、抗酸化活性を高めながら消費者にも受け入れられる、大麦の配合条件を見つけることです。

どのように調べたか

研究チームは、韓国産の米ともち性の大麦を使いました。大麦の割合を0%、20%、40%、60%、80%、100%の6段階に変えて炊飯し、炊いたもの10gを上下の加熱板で挟んで、約205℃で4分間加熱しました。こうして、厚さ約3mmの円盤状のスナックができます。米粉と水を混ぜて生地をつくる一般的な米菓とは異なり、炊いた穀物を高温・短時間で加熱して水分をほとんど飛ばすのが特徴です。

できたスナックについて、水分、溶けている固形分の量、pH、灰分(ミネラル分の目安)、硬さ、色を測りました。成分の面では、フェノール化合物とフラボノイドの総量に加え、5種類のフェノール酸の量を分析しました。抗酸化活性は、性質の異なる4種類の試験管内の測定法で評価しています。さらに、20代の若い消費者108人に6種類のスナックを試食してもらい、見た目、風味、食感、後味、全体の好ましさを9段階で、購入意向を5段階で評価してもらいました。

主な結果

大麦の割合が増えるほど、フェノール化合物の総量は大麦なしの1gあたり3.99mg(没食子酸換算)から、大麦100%の12.07mgまで増えました。フラボノイドの総量も約4.25倍に増えています。測定した5種類のフェノール酸はいずれも大麦の割合とともに増え、なかでも最も多かったフェルラ酸は、大麦100%で大麦なしの約2.8倍でした。5種類の合計は1gあたり58.92µgから217.75µgに増えています。4種類の抗酸化活性の測定値も、すべて大麦の割合に応じて高くなりました。著者らは、大麦がもともと多くのフェノール化合物を含むことに加え、高温加熱で結合型の成分が遊離した可能性や、水分が減って成分が濃縮された可能性を挙げています。

一方で、大麦が多いほどスナックは硬くなり、色は暗くなりました。消費者の評価では、全体の好ましさは大麦40%(9段階で6.49点)と60%(6.21点)が高く、それ以上大麦を増やすと下がりました。購入意向も40%と60%で高く、80%(2.62点)と100%(2.20点)では低い結果でした。見た目、風味、食感、後味の評価も、全体の好ましさと同じような傾向を示しました。統計的に試料を分類した結果も、抗酸化成分が多い80%・100%のグループ、消費者の評価が高い40%・60%のグループ、明るい色で水分の多い0%・20%のグループに分かれました。

研究が示すこと

著者らは、大麦を40〜60%加えた米スナックは、大麦なしのものよりフェノール化合物と抗酸化活性が高く、しかも消費者に好まれやすいと結論づけています。大麦をさらに増やすと抗酸化成分は増えるものの、硬さや色といった食感・味わいの面で受け入れにくくなりました。なお、抗酸化活性は試験管内で測った値であり、今回の分析では加熱中に新しくできた可能性のある成分の構造までは特定していないと、著者らは述べています。

この研究は、機能性成分を増やすことと、おいしく食べてもらえることの間に釣り合いのとれる配合範囲があることを、具体的な数値で示したものといえます。

原著論文の著者・所属:Il Sook Choi(Department of Food and Nutrition Wonkwang University Iksan Jeonbuk Republic of Korea; Institution for Better Living Wonkwang University Iksan Republic of Korea)、Eun Jung Kwak(Department of Food Science & Technology Yeungnam University Gyeongsan Republic of Korea)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Il Sook Choi, Eun Jung Kwak. Improving the Antioxidant Activity and Consumer Acceptance of Rice Snacks Fortified With Barley. Journal of Food Science 2026-08-01. DOI: 10.1111/1750-3841.71302. 原著ライセンス:CC BY.