著者の所属・活動拠点の国は、マレーシアです。
掲載誌:Plant Science Today
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
総説の目的
ショウガはショウガ科に属する熱帯性の草本で、薬用や料理用として広く栽培されています。著者らによると、マレーシアでは、ベントンショウガ(Bentong ginger)と赤ショウガ(red ginger)の2品種が、特有の性質と大きな経済的価値から高く評価されています。
この論文は、既存の知見をまとめた総説(レビュー)です。抄録によると、著者らは両品種について、分類、形態、栽培方法、栄養価、生理活性成分(生物の体に何らかの作用を示す化合物)に関する現在の知見を整理しています。さらに、大規模に増やすための組織培養技術の活用も取り上げています。
2つの品種の特徴
ベントンショウガは、マレーシア・パハン州のベントン地区と結びついた地理的表示(特定の産地と品質の結びつきを示す表示)をもつ品種です。著者らは、高さ90cmに達する細長い葉のついた茎が、大きな角状の根茎(地下で太くなる茎で、ショウガとして利用される部分)から伸びると紹介しています。根茎は香りが強く、フェノール類(植物に含まれる化合物の一群)を多く含むとされます。抄録では、薬用としての価値が高いことから、健康増進や病気予防のための優れた選択肢と主に見なされている、と述べられています。
赤ショウガは、赤紫色の根茎が特徴です。著者らによると、バニロイド類、フェノール類、フラボノイド類といった成分を多く含むことでよく知られており、これらが顕著な薬理的性質に寄与しているとされます。
栽培と増殖の取り組み
両品種とも、根茎など植物体の一部を植えて増やす従来の栄養繁殖で育てられています。抄録によると、ベントンショウガは高地でよく育ち、赤ショウガは水はけのよい砂壌土(砂を多く含む土)で生育が良好です。
著者らは、両品種の根茎に対する消費者の需要が高まっていることから、研究者が生産を高めるためにバイオテクノロジーの手法を取り入れるようになったと述べています。その一つが、植物の小さな組織を容器内の無菌環境で育てて増やす試験管内微細繁殖(in vitro micropropagation)です。著者らは、この方法を、病気のない根茎を大規模に得るための興味深い選択肢と位置づけています。
この総説が伝えること
この総説は、マレーシアで価値の高い2つのショウガ品種について、植物としての特徴から含まれる成分、栽培、組織培養による増殖までの知見を一つにまとめたものです。需要の高まりを背景に、従来の栽培に加えて組織培養という手段がどのように位置づけられているかを知る手がかりとなります。
原著論文の著者・所属:N S S Khalid(Department of Plant Sciences, Kulliyyah of Science, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia)、L A Rosli(Department of Plant Sciences, Kulliyyah of Science, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia)、M F Yunus(Department of Plant Sciences, Kulliyyah of Science, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia)、M S Salleh(Department of Plant Sciences, Kulliyyah of Science, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia; Sustainable Agriculture and Green Technology (AG-Tech) Research Unit, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia)、TCM Sundram(Department of Plant Sciences, Kulliyyah of Science, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia; Sustainable Agriculture and Green Technology (AG-Tech) Research Unit, International Islamic University Malaysia, Kuantan 25200, Pahang, Malaysia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):N S S Khalid, L A Rosli, M F Yunus, et al. Current developments on taxonomy, agronomy, bioactivity and in vitro micropropagation of two Malaysian ginger varieties: Zingiber officinale Rosc cv. Bentong and Zingiber officinale Rosc cv. Rubrum. Plant Science Today 2026-09-24. DOI: 10.14719/pst.9757. 原著ライセンス:CC BY.