この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Perspektif Jurnal Pendidikan dan Ilmu Bahasa

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を明らかにしようとした研究か

食べ物が捨てられるとき、失われるのは食材そのものだけではありません。そこまでに使われた水、エネルギー、土地、労働力、時間、費用、そして栄養も一緒に失われます。著者らはこの点を出発点に、廃棄の段階で対処するのでは遅く、必要量の計画、購入、保管、調理、提供、余剰の活用に至るまでの各段階で「そもそも無駄を出さない」ことを優先する考え方——ゼロウェイスト・フード——に注目しています。

研究チームが調査の場に選んだのは、インドネシアのスマラン国立大学で調理教育を専攻する学生たちです。学生は実習のなかで献立作成、材料の調達、計量、下ごしらえ、切り分け、加熱調理、盛り付け、保管、片付けまでを自分たちの手で行います。そこでの判断は、作品の評価だけでなく、卒業後に学校や給食・外食の現場へ持ち込む仕事の基準そのものを形づくります。著者らは、こうした学生において、ゼロウェイスト・フードに関する知識が持続可能な調理の実践にどの程度結びついているのかを分析することを目的としました。

なお論文は、調査が一時点での横断的な設計であるため、題名にある「影響」という語を回帰モデル上の統計的な関連に限定し、実験的に確かめられた因果関係を指すものではないと明記しています。

どのように調べたか

著者らは量的な質問紙調査を行いました。知識については、四択問題24問(0〜24点)を用意し、ゼロウェイスト・フードの概念と範囲、予防を最優先とする考え方と3R、必要量と一人分の量の計画、保管・品質・安全、食材や製品の再活用、影響の把握と評価という六つの観点を尋ねています。設問は、材料計画、切り落としを減らす工夫、先入れ先出しの実践、表示ラベルの読み取り、まだ使える部位の活用、残りの記録といった、実際の調理実習で起こる場面に即して作られました。

実践については、直近三回の実習を振り返って答える24項目の頻度尺度(24〜120点)を用いています。「いつも」から「まったくない」までの五段階で回答し、点数が高いほど実践が一貫していることを示します。ここでいう食品ロスは、もともと人が食べるために用意されながら、使われなかった・出されなかった・食べられなかった、あるいは捨てられた食材や製品に限定され、包装材や洗浄水、通常は食べられない部分は主要な得点に含めていません。

分析対象となったのは、知識テストが65名分、知識と実践の両方がそろった回答が50名分でした。15名分は実践側のデータが欠けており、著者らはこの人数の違いが推定の精度や結果の代表性に影響しうるとして、隠さずに報告しています。分析には記述統計、項目と合計点の相関、信頼性係数、ピアソンとスピアマンの相関、単回帰が用いられました。

報告された主な結果

まず測定道具の質について、知識テストは24問すべてが基準を満たし、内部の一貫性はα=0.920と高い値でした。実践尺度は24項目全体でα=0.890でしたが、項目ごとに見ると20項目が基準を満たし、4項目(Y3、Y6、Y12、Y20)は満たしませんでした。著者らは、全体の係数が高くても個々の項目の問題が消えるわけではないとして、これらの文言や逆転項目の採点処理を見直す必要があると述べています。

得点の分布を見ると、知識の平均は18.68点(標準偏差5.86、範囲5〜24)、実践の平均は92.02点(標準偏差11.61、範囲64〜116)でした。どちらも満点に対して8割弱にあたりますが、著者らはこの割合を尺度の目安を示すためだけに用い、「高い」「低い」といった段階づけはしていません。検証された区分点が設定されていないためです。同時に、知識の幅が広いことは、学生のあいだで習得の度合いがそろっていないことを示しています。

肝心の関連については、ピアソン相関がr=0.320(p=0.024)で、知識の得点が高いほど実践の得点も高い傾向が見られました。単回帰では知識の係数がB=0.63(β=0.320、p=0.024)、決定係数はR²=0.102、予測式はŶ=80.44+0.63Xでした。知識テストが1点上がるごとに、実践の予測得点が0.63点上がる計算になります。ただし、知識の得点分布が正規分布から外れていたため順位に基づくスピアマン相関も併せて算出したところ、ρ=0.237(p=0.098)となり、向きは同じく正でしたが統計的な基準には届きませんでした。

著者らはこれらを踏まえ、知識は線形モデルにおける限定的な予測要因であり、唯一の決定要因でも因果の証拠でもないと結論づけています。実践の変動のうちモデルで説明できたのは約1割で、残りの約9割は態度、集団の規範、習慣、設備の有無、教員の指導、課題の設計、測定誤差など、モデルの外にある要因に関わる可能性があるとしています。

この報告が示していること

この研究が伝えているのは、知っていることと、実習の現場で実際にそうすることのあいだには隔たりがあるという事実です。著者らは先行研究を参照しながら、定義や影響を答えられる知識と、手順として身についた知識を区別しています。必要量を計算する、正味の重量を出す、保存期限を決める、安全に再利用できる方法を選ぶ、残った量を評価する——こうした手順を繰り返し練習してはじめて、知識は作業の順序を変える力を持つというわけです。

もう一つ強調されているのは、廃棄削減と食品衛生を切り離さないことです。無駄を減らそうとするあまり、安全な範囲を超えた食材を使い回してよいわけではありません。著者らは、名称と日付のラベル、記録された保管温度、密閉容器、生と加熱済みの分別、そして「保管する・作り直す・分ける・捨てる」を判断する基準を、ゼロウェイストの習慣と一体で整えるべきだと述べています。

持続可能性の学びは、概念の理解と、計画・保管・安全な再利用・残りの評価という監督つきの日常的な手順とを組み合わせる必要がある。これが著者らの示した含意です。知識は出発点になりますが、それを支える環境と繰り返しの経験がなければ、実践の一貫性には届かないということを、この調査の結果は控えめな数字とともに示しています。

著者:Agustina Agustina(Universitas Negeri Semarang)、Muhammad Ansori(Universitas Negeri Semarang)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Agustina Agustina, Muhammad Ansori Pengaruh Pengetahuan Zero Waste Food terhadap Penerapan Pengolahan Makanan Berkelanjutan pada Mahasiswa Tata Boga di Universitas Negeri Semarang. Perspektif Jurnal Pendidikan dan Ilmu Bahasa 2026-09-21. DOI: 10.59059/perspektif.v4i3.3439. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。