著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

19世紀以降、加工食品が広く普及するにつれて、安全性の程度がさまざまな食品添加物や保存料が多く使われるようになりました。この流れを受けて、多くの国では食品加工や保存に使う添加物・保存料を規制する法律が設けられています。

本論文で著者らは、食品加工に使われる添加物と保存料を整理し、それらがどのように食品を保存するのか、また人の健康にどのような影響がありうるのかを明らかにすることを目的に掲げています。論文は新たな実験や調査ではなく、既存の資料や規制制度をまとめた総説(レビュー)です。

食品添加物とは何か、どう働くのか

論文では、食品添加物を、食品の風味を保ったり、見た目や味などの性質を高めたりするために加えられる物質として紹介しています。世界保健機関(WHO)は、味、食感、見た目、安全性、鮮度を改善・維持するために食品に加えられる物質を食品添加物と呼んでいます。製造、包装、輸送、保管の過程で間接的に食品に入り込む物質(間接添加物)も、この範囲に含まれるとされています。

添加物の中には何世紀も前から使われてきたものもあります。論文によれば、塩は食品の中で微生物が使える水分(水分活性)を下げることで細菌の増殖を抑えます。酢などの酸を加える酢漬けは、食品を酸性にして細菌が増えにくい状態にします。シナモン、唐辛子、カレーには殺菌的な性質があるとも紹介されています。また、肉などの動物性食品の塩漬け(キュアリング)では、塩、砂糖、香辛料、酢、亜硝酸ナトリウムや硝酸ナトリウムが用いられると述べています。

20世紀後半に加工食品が増えると、天然由来と合成の両方で多くの添加物が導入されました。著者らは、大量生産された食品が工場から店舗を経て消費者に届くまで安全で新鮮な状態を保つために、添加物が必要とされてきたと説明しています。一方で、包装材に由来するビスフェノール類、ペルフルオロアルキル化合物、フタル酸エステル類などの間接添加物について、米国小児科学会が2018年に、着色料や硝酸塩とともに子どもの発達への影響のおそれからさらなる研究を求めたことにも触れています。

安全性評価と各国の規制

論文は、添加物の安全性がどのように評価・管理されているかを詳しく紹介しています。国連食糧農業機関(FAO)とWHOの合同専門家委員会(JECFA)が安全性を評価し、その結果をもとに国際的な食品規格を定めるコーデックス委員会が、食品や飲料に使える添加物の最大量を決めます。この規格は各国の基準や国際貿易の参考とされています。

米国については、1906年の食品医薬品法から規制が始まり、1958年の食品添加物改正法でFDAの承認がない添加物の使用が禁じられたことが説明されています。ただし、長い使用実績や科学的根拠から専門家が安全と認める「GRAS(一般に安全と認められる物質)」と、1958年以前に当局が使用を認めていた物質は、この定義の対象外とされます。さらに1970年代には、GRAS物質の安全性が見直され、問題が見当たらないものから、安全性を判断する生物学的研究がないものまで、5つの区分に分類されたことも紹介されています。

ナイジェリアでは、食品に何かを加える前に、国家食品医薬品管理局(NAFDAC)がナイジェリア標準化機構(SON)と連携して承認する必要があり、表示や使用条件に関する規則が定められています。著者らはまた、微量の化学物質にさらされることが絶対に安全だと科学的に示すことはできず、どれほど小さくても何らかのリスクが残るという点も指摘しています。

著者らの結論と提言

著者らは、添加物が長年にわたり食品の保存、風味付け、とろみ付け、着色などに使われ、一年中、健全で手ごろな食品を届け、微生物による腐敗を防ぐうえで重要な役割を果たしてきたとまとめています。食品の加工・保存技術は、品質、受け入れやすさ、栄養を保つために活用でき、炭水化物、脂質、たんぱく質といった主要な栄養素の維持にも役立つと結論づけています。

その一方で、著者らは添加物に伴う有害な影響への対処も必要だと主張しています。添加物を使う場合は影響の少ない天然のものやGRAS物質を選び、それ以外の物質は許容一日摂取量(ADI)を超えないようにすべきだとしています。提言としては、着色料のように見た目のためだけの不要な添加物の禁止、乳幼児向け食品への添加物の使用禁止、発がん性などのある添加物を含む食品への警告表示、規制機関による適正製造規範(GMP)の徹底などを挙げています。

この総説は、食品添加物が食品の安全と供給を支える役割を持つ一方で、その使い方には規制や表示による慎重な管理が欠かせないという著者らの立場を、各国の制度とあわせて示しています。

原著論文の著者・所属:*Ibegbulem, Udodi Marcia, **Professor Innime Righteous(School of Public Health, University of Port Harcourt)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):*Ibegbulem, Udodi Marcia, **Professor Innime Righteous. ADJUNCT AND IMPROVER USED IN FOOD PROCESSING AND PRESERVATION. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-10-21. DOI: 10.5281/zenodo.23523692. 原著ライセンス:CC BY.