妊娠中の食事は母体と胎児双方の健康に関わる重要な要素とされていますが、実際にどれだけ多様な食品が摂取できているかは、住む地域の経済状況や生活環境によって大きく左右されると考えられます。今回紹介する研究は、ナイジェリア・オヨ州オグボモソの都市部と農村部に住む妊婦を対象に、食習慣や食事の多様性、そして栄養状態を比較したものです。

どのように調べたのか

研究チームは、オグボモソ北部および同オリレ地方自治体にある医療施設を受診した妊婦を対象に、横断的な調査を行いました。構造化された質問票に加え、前日に食べたものを聞き取る24時間思い出し法、そして食品摂取頻度調査を組み合わせて、食事内容を把握しています。食事の多様性は「女性の最小食事多様性(MDD-W)」という指標を用いて評価し、栄養状態は身長や体重などの人体計測データから判定しました。得られたデータは記述統計とカイ二乗検定によって分析されています。

何がわかったのか

調査の結果、対象となった妊婦の食事多様性は総じて中程度にとどまり、多くの妊婦が最小食事多様性の基準を満たしていませんでした。具体的には、穀類やいも類などでんぷんを多く含む主食の摂取頻度は高い一方で、肉や魚などの動物性食品、果物、緑葉野菜の摂取は相対的に少ない傾向が見られたとされています。

さらに、食事の多様性は教育水準、世帯収入、職業といった社会経済的な要因と統計的に有意な関連が認められました。また、妊娠前のBMI(体格指数)との関連も、都市部・農村部のいずれにおいても有意であったと報告されています。加えて、妊娠前の自分の体重についての本人の認識(太っている・痩せているといった自己評価)も、都市部・農村部の双方で食事の多様性と有意に関連していたとされています。

これらの結果から、研究チームは、食事の多様性が不十分な妊婦の間で、低栄養と過体重・肥満という一見相反する栄養問題が同時に存在している可能性を指摘しています。そのうえで、栄養に関する教育の強化や、栄養価の高い食品へのアクセス改善、多様な食事の推進が必要であるとまとめています。

この研究を読むうえでの注意点

この研究は、ある時点での食事や栄養状態を調べた横断研究であるため、食事の多様性の低さが栄養状態の悪化を引き起こしているといった因果関係を直接示すものではない点に注意が必要です。あくまで、オグボモソという特定地域の妊婦を対象とした一つの調査結果であり、他の地域や集団にそのまま当てはまるとは限りません。

まとめ

今回の研究では、ナイジェリアの都市部・農村部いずれの妊婦においても、食事の多様性が十分でなく、動物性食品や野菜・果物の摂取が少ない傾向が示されました。食事の多様性は教育や収入、妊娠前の体格といった要因と関連しており、栄養教育や食へのアクセス改善の重要性が示唆される内容となっています。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Jelili Akorede Quadri, Arowosaye Mariam Damilola, Yetunde Jumoke Osinowo, et al. Dietary Pattern, Diversity and Nutritional Status of Pregnant Women in Urban and Rural Areas of Ogbomoso, Oyo State, Nigeria. アジアン・フード・サイエンス・ジャーナル (2026). DOI: 10.9734/afsj/2026/v25i10920.