「植物性食品を中心とした食生活」は、栄養に関する推奨の中でもよく耳にする考え方です。一方で、こうした食生活への関心の高まりとともに、牛乳や肉の代わりとなる植物性の「超加工食品(UPF)」も市場に増えてきました。UPFとは、加工の程度が高く、多くの成分や添加物を含む食品を指す分類の一つです。これまでの研究では、UPFの摂取が多いことと健康への悪影響との関連が数多く報告されてきました。それでは、ヴィーガンなど植物性食生活を実践する若者は、実際にどれくらいUPFから栄養を得ているのでしょうか。この点を調べた研究が、ニュートリション・ジャーナル誌に2026年08月に掲載予定です。
研究でわかったこと
この研究は、スウェーデンに住む16〜24歳の244人を対象とした横断研究(ある一時点の状態を調べる研究デザイン)です。参加者は、ヴィーガン、ラクト・オボ・ベジタリアン(卵・乳製品は摂る菜食)、ペスカタリアン(魚介類は食べる菜食)、雑食(通常の食生活)の4つのグループに分けられました。それぞれが4回の「24時間思い出し法」という方法で申告した食事内容をもとに、食品をNovaという分類システムに従ってUPFかそうでないかに分類し、UPFがエネルギーや栄養素、その他の食品成分にどの程度寄与しているかを比較しています。
その結果、ヴィーガンは他の3グループと比べて、エネルギーだけでなく、n-3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンB12、カルシウム、亜鉛といった栄養素、そして塩分についても、より多くをUPFから得ていることが示されました。特にビタミンDとビタミンB12については、ヴィーガンはそのすべてをUPFから摂取していたと報告されています。ただし興味深いことに、ヴィーガンだからといってエネルギー摂取量やBMI(体格指数)が他のグループより高いわけではありませんでした。また、ヴィーガンは食物繊維や多価不飽和脂肪酸(PUFA)をより多く摂り、飽和脂肪酸(SFA)は少ない傾向も見られたとされています。
さらに、食生活のタイプにかかわらず研究対象者全体で見てみると、UPFの摂取が最も多かった人たちは、栄養に関する知識のレベルが低く、全粒穀物の摂取が少なく、遊離糖類(添加された糖など)の摂取が多い一方で、飽和脂肪酸は少なく多価不飽和脂肪酸は多いという傾向が示されました。なお、UPFの摂取量と、血液などから調べる栄養状態の生化学的な指標との間には、明確な関連は見られなかったと報告されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、スウェーデンの16〜24歳という特定の年齢・地域の集団を対象とした横断研究であり、ある一時点での関連を示したものです。そのため、UPFの摂取が何かを引き起こす、あるいは防ぐといった因果関係を直接証明するものではありません。また、食事内容は参加者自身の申告に基づいており、実際の摂取量と多少のずれがある可能性も考えられます。あくまで一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意が必要です。
著者らは、植物性食生活の中でも特にヴィーガンでは、ビタミンDやB12など「植物性食生活で不足しやすいとされる栄養素」の多くをUPFから得ているという実態を踏まえ、若者に植物性食生活を推奨する一方でUPF摂取を一律に控えるよう呼びかけることには慎重であるべきだと指摘しています。UPFという分類が今日どのように定義されているかを踏まえたうえで、政策や推奨のあり方を考える必要があることが示唆されています。
まとめ
この横断研究では、スウェーデンの若者を対象に、ヴィーガン・ラクト・オボ・ベジタリアン・ペスカタリアン・雑食という4つの食生活パターンの間で、超加工食品(UPF)からの栄養摂取に違いがあることが示されました。特にヴィーガンは、ビタミンDやB12などの重要な栄養素を含め、多くをUPFから摂取している一方で、エネルギー摂取量やBMIには差が見られなかったと報告されています。植物性食生活とUPFの関係は単純に「良い・悪い」と割り切れるものではなく、今後さらなる研究による検証が期待されるテーマだと言えそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ヴィーガン、ラクト・オボ・ベジタリアン、ペスカタリアン、雑食の若者における超加工食品摂取とその栄養への影響:横断研究(ニュートリション・ジャーナル・2026年08月)