この研究は、スウェーデンの研究機関の研究論文です。

掲載誌:BMC Public Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

子どもや思春期に身についた食習慣は大人になっても続きやすく、長期的な健康に影響すると考えられています。スウェーデンでは学校給食が生徒の栄養摂取に重要な役割を果たしていますが、研究チームは、思春期になると給食を食べる生徒が減り、代わりに学校の近くの店で食べ物を買うことが増えるのではないかと指摘しています。

そこで著者らは、ストックホルム中心部に住む13〜19歳の生徒を対象に、学校にいる時間帯の食事パターンを調べました。特に、給食をどれだけ利用しているか、そして校内・校外でどのような間食をとっているかに注目しています。

どのように調べたか

研究は「反復横断研究」という方法で行われました。これは、同じ人を追いかけ続けるのではなく、年ごとに別々の生徒グループを対象に同じ調査を繰り返す手法です。調査は4年間にわたり、2019〜2021年と2024年に実施され、対象はストックホルム中心部にある2校の生徒でした。この地域はファストフード店の密度が高い場所です。

データの集め方には、生徒自身が参加する「シチズンサイエンス(市民科学)」の枠組みが使われました。生徒は専用に開発されたスマートフォンアプリを使い、自分が食べた食事や飲み物の写真を撮って報告します。写真にはGPSの位置情報が記録されるため、どこで食べたのかが分かる仕組みです。加えて、生徒自身による食習慣の自己評価も集められました。栄養面の評価は、集まった画像を人の手で分類・注釈づけすることで行われています。

主な報告結果

参加者は483人で、合計4,562枚の画像が集まりました。そのうち、食事や飲み物の21%は学校の敷地外で報告されたものでした。

著者らの報告によれば、「健康的でない」と分類された食事の割合は、校外のほうが校内より有意に高くなっていました(校外65%に対し校内43%、χ²=109.6、p<0.001)。校内で食べられた食事は、主食・主菜・副菜がそろった「完全な食事」の構成要素を含むことが多く、野菜、赤身肉・加工肉、魚介類の割合が校外の食事より有意に高いという結果でした(いずれもp<0.001)。一方、校外の食事はスナック中心のものが多く、砂糖入り飲料・人工甘味料入り飲料のいずれについても、校外での報告のほうが有意に多くなっていました(いずれもp<0.001)。

この研究が示すこと

著者らは、無償の学校給食が利用できるにもかかわらず、ストックホルム中心部の生徒は学校を出て、より健康的とはいえない昼食をとる傾向があると結論づけています。健康的でない食品を売る店に手軽に行ける環境と、校内外での間食の多さが重なっており、学校を取り巻く食環境には公衆衛生上の重要な課題があるとしています。

この研究は、学校で過ごす一日の中で思春期の生徒が実際に何を食べているのかについて、新たな知見をもたらすものだと著者らは位置づけています。給食を用意するだけでは十分ではなく、学校の周囲まで含めた食環境そのものに目を向ける必要がある——そうした視点を提供する研究だといえます。

著者:Hanna Wieslander(Department of Medicine, Karolinska Institutet, Huddinge, Stockholm, Sweden)、Sofia Spolander(Department of Medicine, Karolinska Institutet, Huddinge, Stockholm, Sweden)、Vasileios Papapanagiotou(Department of Medicine, Karolinska Institutet, Huddinge, Stockholm, Sweden)、Alexandros Papadopoulos(Arbisense AB, Stockholm, Sweden)、Emma Patterson(Department of Global Public Health, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden)、Ioannis Ioakimidis(Department of Medicine, Karolinska Institutet, Huddinge, Stockholm, Sweden)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hanna Wieslander, Sofia Spolander, Vasileios Papapanagiotou, et al. Exploring dietary patterns during school hours in Swedish adolescent student population, focusing on out-of-school eating and snacking: a repeated cross-sectional study. BMC Public Health 2026-09-22. DOI: 10.1186/s12889-026-29555-8. 原著ライセンス:CC BY.