著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Indonesian Journal of Innovation Studies
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ルジャックは、新鮮な果物に甘酸っぱく辛いたれを絡めて食べるインドネシアの軽食で、幅広い人々に親しまれています。一方で、たれを手作りするには時間と手間がかかります。手軽に食べたいという消費者の需要を背景に、すぐに使える調味料として製造する生産者も多くなっています。
研究チームは、東ジャワ州ラモンガン県パチランの零細事業者「Rizqi」を対象に、パチラン名物のルジャック・ウレック用調味料の製造工程を調べました。あわせて、営業に必要な許認可の取得状況や販売の仕組みも整理しています。ウレックとは、石のすり鉢と棒でつぶす調理法を指します。
調べ方
調査は2024年3月から4月までの2か月間、事業所で行われました。著者らは、事業者の経営者や従業員への聞き取りと、製造現場の直接観察によって情報を集めました。さらに、関連する論文やウェブ上の資料と照らし合わせて整理しています。数値を測定する実験ではなく、現場の実態を記述する質的な研究です。
主な報告内容
論文によると、この事業者は事業者識別番号(NIB)と、県の保健当局が発行する家内工業食品の許可番号(P-IRT)を取得しています。著者らは、こうした許認可の番号がラベルに表示されることで、消費者が安心して購入しやすくなると説明しています。
製品は、少量の水を加えて緩めるだけで使えるインスタントの調味料です。原料は唐辛子、塩、エビの発酵ペーストであるテラシ、濃厚な魚介ペーストのペティス、熟したタマリンド、そして地元パチラン産のヤシ糖です。味は「激辛・甘口」と「激辛・塩味」の2種類です。合成保存料は使っていないと報告されています。
製造は手作業で、すり鉢を使った2段階のすりつぶしが特徴です。まず唐辛子と塩だけをすりつぶします。他の原料と一緒にすると唐辛子が細かくなりにくいためです。次に、粘りのあるヤシ糖、ペティス、タマリンドを混ぜ合わせ、もう一度すりつぶして滑らかに仕上げます。味が変わらないよう、2回のすりつぶしはどちらも1人の作業者が担当しているといいます。
仕上がった調味料は1カップ150グラムずつ量り、カップの口を機械で密閉します。製造は2日に1回で、1回あたり平均5〜8キログラムと報告されています。日持ちは常温で1週間、冷蔵で6か月とされています。著者らは、密閉によって空気を除くことで、微生物による腐敗が起こりにくくなると説明しています。
工程で特に注意が必要なのは密閉作業です。機械が十分に温まる前に使うと封が甘くなり、製品が傷みやすくなると指摘されています。販売は主にラモンガン県内の取引先への納品ですが、WhatsAppやネット通販のShopeeも使っており、県外の購入者もいると報告されています。
研究から見えること
この研究は、地方の小さな食品事業者が、許認可の取得、手作業による伝統的な製法、カップの密閉包装を組み合わせて、地域独特の味を保ちながら製品として届けている様子を具体的に描いています。著者らは、こうした組み合わせが、地域の食品製造者がオンラインも含めて販路を広げるための一つのあり方になると述べています。
原著論文の著者・所属:M. Falih Abdilah(Prodi Teknologi Pangan, Fakultas Sains dan Teknologi, Universitas Muhammadiyah Sidoarjo)、Rima Azara(Prodi Teknologi Pangan, Fakultas Sains dan Teknologi, Universitas Muhammadiyah Sidoarjo)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):M. Falih Abdilah, Rima Azara. Analysis of the Production Process of Rujak Ulek Seasoning Typical of Paciran Produced by UMKM Rizqi Paciran Lamongan. Indonesian Journal of Innovation Studies 2026-10-05. DOI: 10.21070/ijins.v25i4.2384. 原著ライセンス:CC BY.