この研究は、マレーシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
子どもや若者は、デジタル環境と現実の生活の両方を通して食について学び、食事が人の健康と地球環境の双方に与える影響を理解していきます。しかし著者らによれば、デジタル技術を使った健康的な食事の教育、フードリテラシー(食に関する知識や調理・選択の力)の教育、そして持続可能な食事の教育は、これまでほぼ別々に発展してきました。
この論文は、そうした分断された領域を結びつける試みとして、三つの要素を同時に備えた介入研究を探しています。すなわち、実質的なデジタル教育の仕組みがあること、フードリテラシーに関わる力を育てること、そして持続可能性という明確な目標を掲げていることです。研究チームは、この条件を満たす研究がどれだけ存在するのかを確かめ、教育上の優先課題と証拠の空白を整理することを目的としました。
どのように調べたか
著者らは、Web of Science、Scopus、PubMed、ERICという四つの文献データベースを対象に、それぞれの特性に合わせた検索を行い、あわせて引用文献をたどる確認作業も実施しました。さらに、取りこぼしがないかを確かめるために感度を高めた探索的な確認も加えています。
これは特定のテーマに絞った短いレビュー(ミニレビュー)という形式で、集めた研究の質は Mixed Methods Appraisal Tool(混合研究法の評価ツール)を用いて検討されました。
報告された主な結果
条件に合致した研究は三件でした。感度を高めた追加の確認でも、明らかに該当する研究はほかに見つからなかったと報告されています。
三件の内容は、それぞれ異なる方向性を示しています。一つ目は、問いを立てて探究する手順に沿って進める、思春期の若者向けの食の仕組み(フードシステム)のシミュレーション。二つ目は、テキストメッセージによる支援を組み合わせたオンラインの家族料理プログラム。三つ目は、食品ロスと植物性たんぱく質をテーマに七つのミッションで構成された、家族向けのモバイルヘルスプログラムです。
著者らは、これらは三つの教育のかたちについての予備的な証拠であって、どの方法がより効果的かを比べる根拠にはならないと明言しています。質の評価では、問いとデータの対応には信頼できる部分がある一方、成果が介入直後の質的なものに留まっていること、比較群のない単群デザインであること、結果の報告が選択的であること、交絡要因の制御が限られていることが指摘されました。
この論文はまた、用語の区別を強調しています。今回の対象となったのは「デジタルメディアを通じて届けられるフードリテラシー」であり、「デジタルな食環境そのものを批判的に読み解く力」とは別のものです。後者は、今後取り組むべき研究の方向として提案された段階にあると位置づけられています。
この整理が示すもの
著者らは、現時点の証拠が支持するのは、研究を設計する際に前提を明確に書き分けることだと述べています。具体的には、デジタル技術が何を可能にしているのか、育てようとしている力は何か、持続可能性の目標はどこにあるのか、参加者はどんな役割を担うのか、測る成果はどの水準のものか、そこから導ける推論はどれだけ強いのか、という六つの点です。
今後の試験に向けては、より多様な人々を対象にすること、子ども自身が主体的に参加する度合いを高めること、子どもと世帯それぞれの成果を分けて捉えること、より長期の行動面・実際面の効果を確かめることが課題として挙げられています。三件という数の少なさそのものが、この分野がまだ入口に立っていることを物語っています。
著者:Lu Xing(School of Education, Faculty of Social Sciences & Leisure Management, Taylor’s University)、Xueqi Wu(Taylor’s Culinary Institute, Faculty of Social Sciences & Leisure Management, Taylor’s University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lu Xing, Xueqi Wu. Connecting digital food literacy and sustainable eating in children and adolescents: a focused mini review of evidence gaps and educational priorities. Frontiers in Nutrition 2026-09-22. DOI: 10.3389/fnut.2026.1953673. 原著ライセンス:CC BY.