著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
料理を支える資源を、生産から調理まで調べる
研究チームは、中国の家庭料理について、食材の生産から加工、家庭での調理までに必要な資源を調べ、料理の種類による違いや、資源利用を改善できる可能性を評価しました。食材そのものだけでなく、油や調味料、調理に使うエネルギーまで含めて、一皿を支える仕組みを捉えることが目的です。
対象は、中国の34の省級行政区をカバーする341品のレシピです。著者らは、植物性の料理101品、動物性の料理110品、植物性と動物性の食材を組み合わせた料理130品に分類しました。魚介類は、データの制約から評価対象に含めていません。
異なる資源を共通の尺度で比べる
研究では「エマジー」という尺度を使いました。これは、製品やサービスができるまでに直接・間接に使われたエネルギーを、太陽エネルギーに換算した共通の単位で表すものです。性質の異なる資源投入を同じ尺度で比較でき、調理時の電気やガスだけでなく、食材の生産や加工を支える投入も評価に含められます。
著者らは、料理本とオンラインのレシピに記載された食材、調理時間、推奨人数に、農業生産の統計や既存文献の換算値などを組み合わせて計算しました。調理エネルギーは家庭で直接測った値ではなく、レシピの調理時間と公表されたエネルギー消費率から推計しています。
全体では食材、植物性料理では油や調味料の寄与が大きい
研究チームの報告では、全体のエマジー投入の77.99%を、購入を通じて供給される非再生可能な資源が占めました。工程別では、食材が69.17%、油と調味料が21.69%、家庭での調理が9.14%で、食材に伴う投入が最も大きい結果でした。
一皿当たりの総エマジー投入は、動物性の料理が植物性の料理の約6倍で、両方の食材を組み合わせた料理はその中間でした。再生可能な資源と非再生可能な資源の構成などを反映する持続可能性指標も、植物性の料理で最も高く、動物性の料理で最も低いと報告されています。
ただし、料理の特徴は主な食材だけでは説明できません。植物性の料理では、食材に伴う投入が小さいため、油と調味料が総エマジー投入の54.46%を占めました。著者らは、料理の環境面の評価には、動物性か植物性かという区別に加え、加工や調理の仕方も重要だと説明しています。
生産と調理を組み合わせた改善を試算
著者らは、作物生産と畜産の間で資源を循環させる取り組み、生産技術やエネルギー効率の改善、油と調味料の使用量削減、調理効率の向上など、5つの対策をモデル上で比較しました。単独の対策では、作物と畜産を結び付けた資源循環が持続可能性指標を最も大きく高め、改善幅は14.50%でした。5つを同時に実施するシナリオでは、同指標が19.34%上昇しました。
これらは実際の家庭で効果を確認した結果ではなく、条件を設定した試算です。そのうえで論文は、料理を支える資源利用を改善するには、台所での工夫だけでなく、上流の農業生産や食材加工も合わせて考えることが重要だと示しています。
原著論文の著者・所属:Yanhui Guo(School of Geography and Environment, Shandong Normal University, Jinan 250358, China)、Wansong Zong(School of Geography and Environment, Shandong Normal University, Jinan 250358, China)、Wen Zhang(School of Geography and Environment, Shandong Normal University, Jinan 250358, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yanhui Guo, Wansong Zong, Wen Zhang. Emergy-Based Sustainability Evaluation and Optimization Scenarios for 341 Chinese Home-Cooked Dishes. Foods 2026-09-10. DOI: 10.3390/foods15183204. 原著ライセンス:CC BY.