著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:AGROINTEK

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ロンボク・テロンは、インドネシア東ジャワのテンゲル地域で栽培されるトウガラシ属の品種です。著者らによると、ハバネロやハラペーニョに近く、黒い種子と強い香りを持ち、他の品種よりかなり辛いといいます。国内ではまだあまり知られていませんが、辛味調味料のサンバルソースなどへの加工が期待されています。

一方で、このサンバルソースは日持ちが短いことが課題とされています。そこで研究チームは、保存料の安息香酸ナトリウムとソルビン酸カリウムを1対1で組み合わせて加えたソースについて、品質の劣化を示す指標と、劣化の進み具合を追う重要な測定項目を見きわめることにしました。そのうえで、保存温度から賞味期間を予測する式を作ることを目指しました。

調べた方法

ソースは原料の約3割をロンボク・テロンとし、2種類の保存料を各0.05%、合計0.1%加えて作りました。合計0.1%は、インドネシア食品医薬品監督庁が定める保存料の上限(製品1kgあたり1g)に合わせた量です。

賞味期間の推定には、加速保存試験という方法を使いました。製品をあえて高い温度で保存して劣化を早め、その速さから通常の条件での日持ちを見積もる方法です。温度と劣化速度の関係は、温度が上がると化学反応が速まる様子を表すアレニウス式で整理しました。試料は30℃、40℃、50℃で30日間保存し、6日ごとに測定しました。

品質劣化の指標の候補としたのは、色の変化と一般生菌数です。一般生菌数は、試料中の微生物を培地で育てて数える方法で、衛生状態の目安になります。予測に使う測定項目の候補としては、水分含量、水分活性(微生物が利用できる水の割合の目安)、pH(酸性度)の3つを調べました。

主な結果

色は保存6日目から変わり始めました。赤から赤橙色へと変わり、温度が高いほど変化が速く進みました。ただし著者らは、色の変化が早い段階から起こり、加熱による褐変反応や酸化などの影響も考えられるとして、劣化の指標には採用しませんでした。

一般生菌数は、30℃と40℃では保存開始時より減りました。研究チームは、保存料に加えて、唐辛子の辛味成分カプサイシンが持つ抗菌作用も関係している可能性を挙げています。一方、50℃では18日目から微生物の増加がみられ、30日目には1mLあたり3.7×10⁴個に達しました。これはインドネシア国家規格の基準である1×10⁴個を上回る値です。著者らは50℃・18日目で品質の低下が起きたと判断し、一般生菌数を品質劣化の指標に選びました。

測定項目のうち、水分活性は30日間ほとんど変わりませんでした。水分含量は温度が高いほど減りましたが、微生物の増殖とは逆の方向の変化で、高温による乾燥が原因と考えられたため採用されませんでした。pHはすべての温度で保存とともに明確に下がり、温度が高いほど低下が大きくなりました。ただし、いずれも国家規格の下限であるpH4.0は下回りませんでした。回帰直線への当てはまりの良さを示す決定係数はpHが0.991と最も高く、研究チームはpHを予測に用いる重要項目としました。

pHの低下速度をもとにした予測では、賞味期間は30℃で61日、40℃で42日、50℃で29日と見積もられました。研究チームは、品質低下とみなすpHを4.4とし、初期のpHと保存温度(絶対温度T)から期間tを求める式として、t=(初期pH−4.4)×e^(3612/T)÷1642.542を示しました。著者らは、安息香酸ナトリウムのみを使った別のチリペーストの研究で推定された31日と比べ、保存料の組み合わせによる相乗効果が確かめられたと述べています。

研究が示すこと

この研究は、地域固有の唐辛子を使ったサンバルソースについて、微生物の増加を劣化の目安とし、測りやすいpHの変化から保存温度ごとの賞味期間を見積もる方法を具体的な式として示しました。2種類の保存料を規制の範囲内で組み合わせた製品の日持ちを、数値で把握する手がかりを提供した点に、この研究の意味があります。

原著論文の著者・所属:Eileen Fiona Wijaya(Food Technology, Universitas Ciputra, Surabaya)、Fransisca Romana Titis Suniati(Food Technology, Universitas Ciputra, Surabaya)、Oki Krisbianto(Food Technology, Universitas Ciputra, Surabaya)、Evelyn Goeyana(Food Technology, Universitas Ciputra, Surabaya)、Ika Yohanna Pratiwi(Food Technology, Universitas Ciputra, Surabaya)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Eileen Fiona Wijaya, Fransisca Romana Titis Suniati, Oki Krisbianto, et al. Arrhenius-based shelf-life prediction of lombok terong (Capsicum) sambal with sodium benzoate and potassium sorbate combination. AGROINTEK 2026-07-28. DOI: 10.21107/agrointek.v20i2.27479. 原著ライセンス:CC BY.