この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Jurnal Perlindungan Tanaman Indonesia (Universitas Gadjah Mada)

ライセンス: CC BY-SA 確認元: OpenAlex

受け継がれてきた「米入りコーヒー」を調べる

インドネシアのロンボク島では、コーヒー豆に白米を混ぜて焙煎し、挽いて飲む習慣が古くから続いています。コーヒーは朝食として、また来客や伝統行事のもてなしとして親しまれてきました。一方で、コーヒー豆は比較的高価です。著者らによると、米を混ぜる背景には経済的な事情と文化的な事情の両方があるとされています。米の量は家庭ごとに異なり、決まった配合はありません。

この習慣は風味を変えると広く信じられてきました。しかし、出来上がったコーヒーの成分や香り、味わいを科学的に詳しく調べた研究は、これまでほとんどありませんでした。そこで研究チームは、ロンボク産のロブスタ種コーヒー豆に白米を加えて焙煎すると、抽出したコーヒーの特徴がどう変わるかを評価しました。

米の割合を5段階に変えて比較

研究チームは、ロンボク島東部産のロブスタ豆と、地元農家の白米を使いました。米の割合を0%、25%、50%、75%、100%の5段階に変え、それぞれ210℃で30分間焙煎しました。比較の対照には、伝統的な土製の道具で焙煎された市販のロンボクコーヒーを用いました。市販品は、豆と米を半分ずつ配合したものです。

焙煎後に挽いた粉について、脂質や炭水化物などの成分を測定しました。あわせて、カフェインと、コーヒー特有のポリフェノールであるクロロゲン酸の量も調べています。クロロゲン酸は苦みや酸味に関わる成分です。さらに、香りのもとになる揮発性成分(空気中に揮発しやすく、においとして感じられる物質)を分析しました。味わいは、訓練を受けた5人の評価者が「カッピング」で評価しました。カッピングは、香り・風味・余韻・口当たり・バランスなどを決まった手順で採点する、コーヒーの標準的な官能評価法です。

米が増えると成分が薄まり、香りの構成も変化

論文によると、米の割合が増えるにつれて炭水化物の割合は上がりました。米を加えない試料では約72%、米だけの試料では約84%です。反対に、脂質やタンパク質、カフェイン、クロロゲン酸は減少しました。たとえば脂質は、米を加えない試料の約8.6%から、米だけの試料では約1.5%まで下がりました。著者らは、カフェインやクロロゲン酸の減少について、もともとこれらを含まない米が加わることで薄まる効果によるものと説明しています。

香りの成分では、ナッツのような香ばしさや焙煎香に関わる「ピラジン類」が最も主要なグループでした。そのなかで、米25%の試料がピラジン類の合計量で最も高い値を示しました。全体として、米を加えるとピラジン類やカラメルのような甘い香りに関わるフラン類などが増えました。一方、スモーキーな香りに関わるフェノール類などは減る傾向がありました。著者らは、白米が香りの構成を変える「調整役」として働き、より軽やかで複雑な香りをもたらしたと解釈しています。

味わいの評価は米25%が最高

カッピングでは、米を含む試料で香り、風味、余韻、口当たり、バランス、全体の印象、総合得点などが上がりました。その一方で、塩味・酸味や苦味・甘味の項目は下がりました。すべての配合のなかで最も評価が高かったのは、豆75%・米25%の試料です。得点は72点で、「良好」に分類されました。米だけの試料は26点で、最も低い評価でした。

研究チームは、この条件では焙煎時に白米を25%加えたときに、伝統的なロンボクコーヒーとして最も良い官能特性が得られたと結論づけています。この研究は、経済的な理由とも結びついてきた米の混入を、単にかさを増やす手段としてではなく、成分や香り、味わいを変える要素として位置づけました。地域で受け継がれてきた習慣に科学的な裏付けを与える一歩といえます。

著者:Evinanda Ayu(Departement of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Jl. Flora No. 1, Bulaksumur, Yogyakarta 55281)、Dian Anggraini Suroto(Departement of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Jl. Flora No. 1, Bulaksumur, Yogyakarta 55281)、Supriyadi Supriyadi(Departement of Food and Agricultural Product Technology, Faculty of Agricultural Technology, Universitas Gadjah Mada, Jl. Flora No. 1, Bulaksumur, Yogyakarta 55281)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Evinanda Ayu, Dian Anggraini Suroto, Supriyadi Supriyadi Characteristics of Traditional Lombok Ground Coffee Brewing: Robusta Coffee Roasted with White Rice. Jurnal Perlindungan Tanaman Indonesia (Universitas Gadjah Mada) 2026-10-09. DOI: 10.22146/agritech.115947. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。