おなかの赤ちゃんの育ち方は、母親の体格に大きく左右されると考えられてきました。母親の子宮内環境が赤ちゃんの出生体重を左右する重要な要因であることはよく知られています。一方で、父親の体格(BMI)と赤ちゃんの出生体重との間にも関係があるという報告があるものの、父親側の体の特徴が胎児の発育にどう関わっているのかについては、まだ十分な情報が蓄積されていないといいます。今回紹介するのは、バングラデシュの病院で行われた研究で、妊娠後期(第3トリメスター)の母親・父親・胎児の体格データを集め、両親の身長・体重と胎児の発育指標との関係を調べたものです。

研究でわかったこと

この研究は、2023年12月から2024年5月にかけて、妊娠後期の妊婦健診に来院した母親・父親・胎児の80組を対象とした横断研究として行われました。両親の身長と体重を測定するとともに、母親は超音波検査を受け、そこから胎児の発育指標として児頭大横径(BPD)、大腿骨長(FL)、腹囲(AC)、推定胎児体重(EFW)が記録されました。

その結果、これら4つの胎児指標(BPD、FL、AC、EFW)はいずれも、母親の体重および母親のBMIと統計的に有意な正の相関を示したと報告されています。つまり、母親の体重やBMIが高いほど、これらの胎児の発育指標も大きい傾向がみられたということです。一方、父親のBMIについては、大腿骨長(FL)と推定胎児体重(EFW)の2つの指標とのみ、統計的に有意な正の相関がみられたとされています。また、両親の身長、および父親の体重については、いずれの胎児指標とも統計的に有意な相関は認められなかったとのことです。

これらの結果を踏まえて、著者らは、妊娠後期の胎児発育を評価するうえで、母親の体重や両親のBMIが重要な指標として活用できる可能性があるとしています。さらに、こうした知見は、妊娠前の段階やごく早期の妊娠段階において、夫婦に対する栄養教育や適切なタイミングでの栄養介入を行う際の参考になりうると述べられています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、バングラデシュの一つの病院で集められた80組のデータをもとにした横断研究であり、ある一時点での関連を調べたものです。要旨の中では、対象人数や研究デザインの詳細以上の情報は示されておらず、この研究だけで因果関係が証明されたわけではありません。あくまで一つの研究として、今後さらに研究が積み重ねられていく中での一つの知見として捉えるのがよいでしょう。

まとめ

今回紹介した研究では、妊娠後期の胎児の発育指標が母親の体重・BMIと関連していること、そして父親のBMIについても一部の指標(大腿骨長と推定胎児体重)と関連がみられたことが報告されました。一方で、両親の身長や父親の体重との関連は認められなかったとされています。母親だけでなく父親の体格にも目を向けることの意義を考えさせられる調査結果だといえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:妊娠третトリメスターにおける両親の身長・体重と選択的胎児パラメータの相関:バングラデシュにおける病院ベース研究(シャヒード・スフラワルディ医科大学ジャーナル・2026年07月)