この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Advances In Social Humanities Research

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

伝統菓子に海藻を加えるねらい

ゲブレックは、インドネシア・ジョグジャカルタ特別州クロンプロゴ県の伝統的な揚げ菓子です。すりおろしたキャッサバ(イモの一種)とタピオカでんぷんにニンニクと塩で味をつけ、輪の形にして油で揚げます。中はもちもち、外は少しカリッとした食感で、地元の市場や屋台で広く売られています。一方、材料が簡素なため炭水化物が中心で、たんぱく質や食物繊維は比較的少ない食べ物です。

研究チームが注目したのは、ジョグジャカルタのグヌンキドゥル沿岸で採れる緑藻のアオサ(Ulva属)です。アオサは各種の栄養素や、抗酸化作用をもつ成分を含むとされ、機能性食品の素材として期待されています。著者らは、アオサの粉末をゲブレックに加えると、栄養成分、物理的な性質、味や見た目の好ましさがどう変わるかを調べました。地元の海藻を生かしながら伝統食品の価値を高める方法を探ることも目的の一つです。

どのように調べたか

アオサはグヌンキドゥルの海藻養殖農家から入手し、洗浄・乾燥してから細かい粉末にしました。この粉末を、すりおろしたキャッサバ100グラムに対して0、2、4、6グラムの割合で生地に混ぜ、蒸してから輪の形に整え、170〜180℃の油で揚げて4種類のゲブレックを作りました。

測定したのは、たんぱく質、脂質、炭水化物、水分、灰分の量、抗酸化活性、粗繊維の量、色、硬さです。灰分とは食品を焼いたあとに残る成分で、ミネラル量の目安になります。抗酸化活性は、試験用の物質(DPPHラジカル)の作用を半分に抑えるのに必要な試料の濃度(IC50)で評価しました。この値が小さいほど抗酸化活性が高いことを意味します。さらに、ある程度訓練を受けた20人のパネリストが、見た目、香り、食感、味、総合的な好ましさを5段階で評価しました。

主な結果

論文によると、アオサを加えたゲブレックでは脂質と灰分が増え、水分は減りました。たんぱく質と炭水化物には統計的に意味のある変化は見られませんでした。脂質が増えた理由について著者らは、アオサ自体の脂質は少ないものの、揚げる際に油を吸いやすくなった可能性を挙げています。灰分の増加は、アオサがミネラルを多く含むことを反映したものと考察されています。

抗酸化活性は、アオサを加えたすべての試料で無添加のものより高く、加える量が多いほど高まる傾向がありました。一方、粗繊維の量はどの試料でも差がありませんでした。

硬さ(割るのに必要な力)は、4%添加の試料が13.63ニュートンで、無添加の9.17ニュートンより有意に高い値でした。2%と6%の添加では、無添加との差は認められませんでした。色はアオサの色素の影響で、加える量が増えるほど暗く、緑がかり、黄色みが弱くなりました。

味や見た目の評価では、4%添加のゲブレックは見た目、味、総合的な好ましさで無添加のものと同程度の評価を得ました。6%添加では評価が下がり、見た目、味、総合評価が無添加より有意に低くなりました。著者らは、色が暗くなりすぎたことと、アオサ特有の味が強く出たことを要因に挙げています。香りと食感の評価には、どの試料の間にも差がありませんでした。

この研究が示すこと

著者らは、アオサの粉末を適度な量で加えると、ゲブレックの一部の栄養成分や物理的な性質が変化し、食べる人の評価も保たれると結論づけています。加えすぎると見た目や味の好ましさが下がるため、添加量の見極めが大切であることも示されました。地元で採れる海藻を伝統菓子づくりに生かす一つの方法を、栄養・物性・食べやすさの三つの面から検討した研究です。

著者:Angga Rendyantoni Puji Utomo(Universitas Negeri Yogyakarta)、Minta Harsana(Universitas Negeri Yogyakarta)、Thyara Mahanani(Universitas Negeri Yogyakarta)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Angga Rendyantoni Puji Utomo, Minta Harsana, Thyara Mahanani Nutritional, Physicochemical and Sensory Evaluation of Geblek, a Traditional Food from Kulon Progo Regency Enriched with Ulva sp. from Gunungkidul Coast. Advances In Social Humanities Research 2026-10-07. DOI: 10.46799/adv.v4i10.694. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。