この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Journal of Health and Nutrition Research

ライセンス: CC BY-NC-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

スピルリナ(Arthrospira sp.)は、栄養価の高い微細藻類として近年注目を集めている食品素材です。緑色〜青緑色をした粉末やタブレットとして販売されており、タンパク質や色素成分を豊富に含むことで知られていますが、実際の栄養組成や機能性は産地や製造方法によって差が生じうるとされています。今回紹介する研究は、インドネシア・中部ジャワで地域生産されたスピルリナ粉末を対象に、その栄養組成、色素プロファイル、そして抗酸化能を科学的に分析したものです。

研究チームは、このスピルリナ粉末について一般成分(水分、粗タンパク質、粗脂肪、炭水化物、灰分)を測定するとともに、フィコビリタンパク質、クロロフィル、β-カロテンといった主要な生理活性色素の含有量を調べました。さらに、抗酸化活性についてはDPPHラジカル消去法という化学的手法を用いて評価しています。

研究でわかったこと

分析の結果、このスピルリナ粉末のタンパク質含量は56%であったと報告されています。色素成分については、フィコビリタンパク質、中でもC-フィコシアニンが主体となっており、これに加えてクロロフィルやβ-カロテンも高い水準で含まれていたとされています。

抗酸化活性については、DPPHラジカル消去活性が濃度依存的に認められ、その効果の指標となるIC₅₀値(活性が50%に達する濃度)は約396ppmであったと報告されています。研究者らは、この数値についてDPPH法という単一の化学的評価系においては「中程度の直接的なラジカル消去能」を示すものと位置づけています。

その上で研究チームは、今回のDPPH法という一つの評価手法だけで見ると、中部ジャワ産のこのスピルリナは瞬時的なフリーラジカル消去活性としては限定的である可能性が示唆されるとしています。一方で、スピルリナが持つ複雑な栄養成分の組み合わせは、直接的なラジカル中和以外の抗酸化メカニズムに寄与する可能性もあると考察されていますが、この点については本研究で具体的に検証されたものではないと明記されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、特定の産地・製造条件で得られたスピルリナ粉末を対象とした一つの分析結果であり、すべてのスピルリナ製品に当てはまる結論ではありません。また、抗酸化能の評価にはDPPH法という一つの化学的手法のみが用いられており、これは体内での実際の抗酸化作用を直接示すものではない点にも留意が必要です。研究チーム自身も、DPPH法単独での評価には限界があることを指摘しており、今回の結果は特定の健康効果を保証するものではなく、あくまで基礎的な成分分析・機能性評価の一つの知見として位置づけられます。

まとめ

今回の研究では、中部ジャワ産のスピルリナ粉末が56%という高いタンパク質含量を持ち、フィコシアニンをはじめとする色素成分を豊富に含むことが報告されました。一方でDPPH法による抗酸化評価では中程度の値にとどまり、単一の評価手法だけでは同素材の抗酸化特性を十分に捉えきれない可能性も示唆されています。スピルリナの機能性を総合的に理解するためには、今後さらに多角的な研究が必要といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):インドネシア中部ジャワ産の粉末スピルリナの栄養組成、色素プロファイル、抗酸化能(ジャーナル・オブ・ヘルス・アンド・ニュートリション・リサーチ・2026年08月)

著者:Elma Alfiah(Nutrition Science Study Program, Faculty of Medicine and Nutrition, IPB University, Indonesia)、Sri Anna Marliyati(Nutrition Science Study Program, Faculty of Medicine and Nutrition, IPB University, Indonesia)、Mira Dewi(Faculty of Medicine and Nutrition, IPB University, Indonesia)、Mokhamad Fahrudin(Division of Anatomy, Histology, and Embryology, School of Veterinary Medicine and Biomedical Sciences, IPB University, Indonesia)