近年、地球環境への負荷を抑えながら人の健康を支える食事のあり方として『EAT-ランセット食』という考え方が提案されています。これは人間の栄養と環境の持続可能性を両立させることを目指して開発された基準食です。この食事パターンについて、これまで白内障との関連を調べた研究はありませんでした。今回、イランの成人を対象に、EAT-ランセット食への順守度が白内障の起こりやすさと関連しているかどうかを調べた症例対照研究が、BMCニュートリション誌に2026年08月に掲載予定です。

どのように調べたのか

この研究は病院を拠点とした症例対照研究で、新たに白内障と診断された患者97名と、頻度をそろえて選ばれた対照198名(いずれも40歳以上)が対象となりました。食事の摂取状況は、妥当性が確認された168項目の食物摂取頻度調査票を用いて評価されました。EAT-ランセット食への順守度は、2つの妥当性が確認された評価方法で数値化されました。ひとつは0〜42点で段階的に評価するStubbendorff指数、もうひとつは0〜14点の二値(該当するかしないか)で評価するKnuppel指数です。これらの指数をもとに、多変量ロジスティック回帰分析によりオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)が算出されました。

わかったこと

分析の結果、EAT-ランセット食への順守度が高いほど、白内障のオッズが低いという関連が強く認められました。すべての要因を調整した完全調整モデルにおいて、Stubbendorff指数が最も高い三分位群は、最も低い三分位群と比較して86%低いオッズを示しました(OR=0.14、95%CI:0.06〜0.32、傾向性P<0.001)。また、指数が標準偏差1つ分増加するごとに、オッズは60%低下すると推定されました(OR=0.40、95%CI:0.28〜0.55)。Knuppel指数を用いた場合も同様の結果で、最高三分位群のオッズ比は0.12(95%CI:0.05〜0.27)でした。さらに、日光暴露や個々の抗酸化栄養素で調整した感度分析を行っても、これらの結果は大きくは変わらなかったと報告されています。

この研究の位置づけと注意点

著者らは、この結果について『予備的な知見』と位置づけており、持続可能で植物性食品を中心とした食事パターンが、地球環境と目の健康の双方に利益をもたらす可能性を示唆するものだとしています。ただし、この研究は症例対照研究という一時点での関連を調べる手法であり、原因と結果の関係を直接証明するものではありません。著者らも、今後は前向きコホート研究による再現性の確認が必要だと述べています。今回の情報には日本の研究機関や日本の食品・食習慣への言及は含まれていません。

まとめ

イランの成人を対象としたこの症例対照研究では、EAT-ランセット食への順守度が高い人ほど白内障のオッズが低いという関連が示されました。研究者自身が予備的な結果としており、今後さらに大規模な追跡研究での検証が期待されます。一つの研究で結論が確定したわけではない点に留意しながら、今後の研究の広がりに注目したいところです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:EAT-ランセット食への順守と白内障オッズとの関連:イランにおける症例対照研究(BMCニュートリション・2026年08月)