著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Smart Society Community Service and Empowerment Journal
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の背景と目的
インドネシアには、零細・小規模事業者が自らの申告によってハラール認証を受けやすくする「自己申告(セルフディクレア)」制度があります。ハラールとは、イスラム教の教えに照らして許容されるものを指します。この制度は小さな事業者の認証取得を後押しする一方、原材料の由来をどう確かめるかという課題を抱えています。
著者らが特に取り上げたのは、食品添加物の一種である乳化剤です。乳化剤は水と油のように混ざりにくいものを混ぜ合わせる働きを持ちますが、原料の由来がはっきりしない場合があります。そのため、ハラールかどうかの確認が難しく、規制の順守や消費者保護の面で課題があると論文は指摘しています。
研究チームは、家庭規模の食品製造業向けの衛生的な製造基準「CPPB-IRT」に注目しました。この基準が、自己申告制度のもとで乳化剤を含む食品のハラール保証をどこまで支えられるのか、その意義と限界を明らかにすることが研究の目的です。
どのように調べたか
この研究は、実験や調査票による調査ではなく、法律や規則そのものを分析する「規範的法学研究」の手法をとっています。著者らは、関係する法令の内容を読み解く方法と、法的な概念を整理する方法を組み合わせました。
分析の対象は、食品安全とハラール保証に関する規則に加え、法学や科学の文献です。
主な結果
分析の結果、CPPB-IRTが主に扱っているのは、食品の安全性、衛生、製造工程の管理、記録の整備であることが示されました。これに対してハラール保証では、原材料の由来を確かめ、ハラールの要件に適合しているかを確認することが別途求められます。
このため論文は、CPPB-IRTを守っているだけでは、由来が不確かな乳化剤のハラール性を確立できないと報告しています。つまり、衛生的に安全に作られていることと、ハラールであると確認されていることは、別の問題として扱う必要があるということです。
研究が示す意味
著者らはこの結果をもとに、食品安全基準への適合とハラールの確認とを区別すること、そして認証の対象となるかどうかを、原材料ごとのリスクやハラールを裏付ける書類に応じて判断することの重要性を強調しています。
そのうえで論文は、原材料をさかのぼって追跡できる仕組み(トレーサビリティ)と、リスクに見合った程度の確認手続きを自己申告制度に組み込む「リスクに基づく確認」の考え方を提案しています。乳化剤を含むすべての製品に一律の制限をかけるのではなく、リスクに応じて確認の度合いを変えることで、消費者保護を強められるというのが著者らの主張です。
原著論文の著者・所属:Archelin Artamevia(Universitas Airlangga, Indonesia)、Fexena Ottong(Universitas Airlangga, Indonesia)、Josabella Gunawan(Universitas Airlangga, Indonesia)、Michael Sugiarto Artajaya(Universitas Airlangga, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Archelin Artamevia, Fexena Ottong, Josabella Gunawan, Michael Sugiarto Artajaya Self-declare Halal Certification: Case Study of Food Additive Products (BTP) Containing Emulsifiers. Smart Society Community Service and Empowerment Journal 2026-09-30. DOI: 10.58524/smartsoc.v6i3.1502. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。