この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Journal of Innovation in Applied Natural Science
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:家庭で使われる容器の違いに着目
レメアは、インドネシア・ブンクル地方に暮らすレジャン族の伝統的な発酵食品で、たけのこと魚を合わせて作られます。発酵は、乳酸菌などが自然に働く「自然発酵」で進み、乳酸などの酸がつくられることで酸味のある食品に仕上がります。
家庭でレメアを作る際には、ガラス瓶、プラスチック瓶、竹の容器など、身近なさまざまな容器が使われています。研究チームは、容器の素材によって水分の保たれ方や微生物の増え方、見た目や香りといった性質が変わり、仕上がりの品質に影響するのではないかと考えました。そこで、発酵容器の違いがレメアの物理化学的性質、微生物の状態、官能特性(人が感じる色・香り・食感)にどう関係するかを調べました。
どのように調べたか
著者らは、ガラス瓶、プラスチック瓶、竹の容器、食品用ポリプロピレン(PP)製容器、タッパーウェア容器の5種類を比較しました。それぞれの容器に、たけのこ(Dendrocalamus asper)80グラムとモザンビークティラピア40グラムを重さ2対1の割合で入れ、水を加えて密閉し、3日間発酵させました。各条件は5回ずつ繰り返されています。
できあがったレメアについて、酸性度を示すpH、乾燥前後の重さの差から求める水分量、寒天培地で数えた細菌数を測定しました。細菌数は、培地上で塊(コロニー)をつくれる細菌の数を表すCFUという単位で示されています。さらに15人の評価者が、色・香り・食感について好ましさを点数で評価しました。
主な結果
pHはどの容器でも4.0〜4.2とほぼ同じで、著者らは発酵に適した酸性の範囲にあったと述べています。
水分量には容器による差が見られました。最も高かったのはタッパーウェア容器の40.54%、最も低かったのはプラスチック瓶の38.74%でした。統計解析では、タッパーウェア容器の値はPP容器とは有意な差がなかった一方、ガラス瓶、竹の容器、プラスチック瓶とは差があったと報告されています。著者らは、タッパーウェアの素材が水蒸気を通しにくく、蒸発による水分の損失が抑えられた可能性を挙げています。
細菌数はガラス瓶で最も多く(7.0×10⁵ CFU/mL)、タッパーウェア容器で最も少ない(1.1×10⁵ CFU/mL)結果でした。著者らは、密閉性の高い容器では酸素が限られることが関係している可能性を指摘しています。また、培地上のコロニーの形や染色の性質から、分離された細菌は乳酸菌と推定されました。
官能評価では、食感について竹の容器で発酵させたレメアが最も好まれました。全体として竹の容器とプラスチック瓶のレメアが評価者から高い支持を得た一方、タッパーウェア容器やPP容器のものは低めの評価になる傾向がありました。
この研究が示すこと
研究チームは、同じ材料と手順で作っても、発酵容器の種類によってレメアの水分量、細菌数、評価者による好まれ方が異なることを示しました。水分を保ちやすい容器、細菌が多く育った容器、色や香り・食感の官能評価で好まれた容器はそれぞれ別であり、著者らは、どの品質を重視するかに応じて容器を選ぶ必要があると述べています。なお、比較した容器は5種類に限られ、評価者も15人と少なく、発酵中の温度や湿度は厳密には管理されていなかったことを、著者ら自身が限界として挙げています。身近な容器の選び方が伝統食品の仕上がりに関わりうることを、具体的な測定で示した研究といえます。
著者:Devy Arum Sari(Universitas Bengkulu)、Dewi Jumiarni(Universitas Bengkulu)、Neni Murniati(Universitas Bengkulu)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Devy Arum Sari, Dewi Jumiarni, Neni Murniati The Quality of Ethnic Fermented Bamboo Shoots (Lemea) From Bengkulu (Indonesia) by Using Different Fermentors. Journal of Innovation in Applied Natural Science 2026-09-18. DOI: 10.58723/jinas.v2i2.229. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。