この研究は、イスラエルの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肥満に対する減量・代謝手術の中で、胃を細長く切り取って小さくする「スリーブ状胃切除術」は、世界で最も多く行われている術式です。一方で、長期的には手術後にいったん減った体重が再び増える患者が比較的多いことも報告されています。術後のケアでは、患者が実際に何をどれだけ食べているかを把握することが重要です。

食事の摂取量を調べる代表的な方法には、前日24時間に食べたものを聞き取る「24時間思い出し法」、食べたものをその都度記録する「食事記録法」、決められた食品リストについて一定期間の食べる頻度を答える「食物摂取頻度調査票」があります。ただし、方法によって推定される摂取量は異なることがあり、どの方法を使うかで研究結果が変わる可能性があります。そこで研究チームは、スリーブ状胃切除術から2年以上たち、体重が再び増えた患者を対象に、これら3つの方法による推定値がどの程度一致するかを比較しました。

調べた方法

対象は、初回のスリーブ状胃切除術から2年以上が経過し、術後の最低体重から10%以上体重が増えた成人100人です。参加者はある臨床試験の開始時点の評価の一環として集められ、76%が女性でした。手術からの期間は平均7.8年、平均年齢は49.9歳、現在の体格指数(BMI)は平均33.1、最低体重からの体重増加は平均25.7%でした。

食事調査は3つの方法で行われました。24時間思い出し法は、管理栄養士が対面で、食べたものを段階的に詳しく確認する手順で聞き取りました。食事記録法では、参加者が平日3日間連続で、飲食したものをその場で記録しました。食物摂取頻度調査票は115品目からなり、過去1か月の食習慣についてタブレットで回答する形式でした。量の見積もりを助けるため、計量用具や料理の量を示す写真集などの視覚資料も使われました。

比較したのは、1日あたりのエネルギー、三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)、食物繊維、鉄、カルシウムの摂取量です。著者らは、2つの値が連動して増減するかを示す相関係数に加え、値そのものがどれだけ一致しているかを表す「級内相関係数(ICC)」と、2つの方法の差のばらつきを図で確かめるブランド・アルトマン分析を用いました。

主な結果

多くの栄養素で、3つの方法の推定値の間には統計的に意味のある正の相関が見られました。例外は、食物摂取頻度調査票と24時間思い出し法の間のたんぱく質と脂質で、これらは有意な相関になりませんでした。

最もよく一致したのは24時間思い出し法と食事記録法の組み合わせでした。この2つの方法の相関係数は、食物繊維の0.610から炭水化物の0.790までの範囲でした。一致の度合いを示すICCは、鉄の0.712からたんぱく質の0.867までの範囲と報告されています。ブランド・アルトマン分析でも、この組み合わせは差のばらつきが最も小さい結果でした。

これに対し、食物摂取頻度調査票はほかの2つの方法との一致が低く、特に食事記録法との組み合わせでは、多くの栄養素で平均の差が最も大きく、差のばらつきも最も広くなりました。論文によると、食物摂取頻度調査票はエネルギー、たんぱく質、脂質、コレステロール、食物繊維、カルシウムなどで摂取量を多めに見積もる傾向がありました。

3つの方法をまとめて見た場合の一致度は栄養素によって異なり、ICCは脂質の0.579から、総エネルギーに占める炭水化物の割合の0.797までの範囲でした。三大栄養素をグラムなどの量で比べると一致は中程度でしたが、総エネルギーに占める割合で比べると一致は良好でした。

この研究が示すこと

著者らは、24時間思い出し法と食事記録法の一致が高かった背景として、どちらも直近の食事を対象とし、管理栄養士が同じような手順で量を確認していたことや、聞き取りの対象日が記録期間の最終日と重なりうることを挙げています。一方、食物摂取頻度調査票は過去1か月の習慣的な食事をとらえるためのもので、目的も対象期間も異なります。そのため著者らは、一致が低いことが、そのまま食物摂取頻度調査票の性能の低さを意味するわけではないとしています。また、この研究は方法どうしの一致を調べたもので、どの方法が正確かを基準と照らして確かめたものではありません。

論文は、現在の摂取量を推定したいときには24時間思い出し法や食事記録法が、習慣的な食事パターンを把握したいときには食物摂取頻度調査票が適している可能性を示し、これらの方法は互いに補い合う役割を持つと述べています。手術後に体重が再び増えた患者の食事を評価する際には、目的に合った調査法を選び、栄養素ごとに一致の度合いが異なることを踏まえて結果を読む必要があることを、この研究は示しています。

著者:Gal Churi(Department of Nutrition Sciences, Faculty of Health Sciences, Ariel University, Ariel, Israel)、Yafit Kessler(Assia Medical Group, Assuta Medical Center, Tel Aviv, Israel)、Mona Boaz(Department of Nutrition Sciences, Faculty of Health Sciences, Ariel University, Ariel, Israel)、Limor Mardy-Tilbor(Department of Nutrition, Assuta Medical Center, Tel Aviv, Israel)、Vital Bahar(Department of Nutrition, Assuta Medical Center, Tel Aviv, Israel)、Hava Faeyrman-Kadosh(Department of Nutrition, Assuta Medical Center, Haifa, Israel)、Asnat Raziel(Assia Medical Group, Assuta Medical Center, Tel Aviv, Israel)、Nasser Sakran(Assia Medical Group, Assuta Medical Center, Tel Aviv, Israel)、David Goitein(Assia Medical Group, Assuta Medical Center, Tel Aviv, Israel)、Shiri Sherf Dagan(Department of Nutrition Sciences, Faculty of Health Sciences, Ariel University, Ariel, Israel)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Gal Churi, Yafit Kessler, Mona Boaz, et al. A comparison of three dietary intake assessment tools among patients after sleeve gastrectomy who experience recurrent weight gain. Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.nut.2026.113440. 原著ライセンス:CC BY.