著者の所属・活動拠点の国は、タイです。

掲載誌:Asian Journal of Interdisciplinary Research

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

飲食店では、料理の味や接客、店の雰囲気などを実際に訪れる前に確かめることが難しく、SNSが店選びの情報源として重要になっています。この論文は、タイで日本式の焼肉食べ放題店を利用する働く世代の消費者を対象に、店への評価やSNS上の情報発信の受け止め方が、店の利用をめぐる判断とどう結びついているかを調べたものです。

著者らは、こうしたテーマが働く世代の消費者とタイの日本式焼肉食べ放題店という場面ではあまり扱われてこなかったと指摘しています。そのうえで、店に対する消費者の評価、SNSマーケティングの4つの側面、年齢や収入、利用頻度などの個人の特徴が、利用判断とどう関係するかを検証しました。

調査の方法

調査の対象は、日本式焼肉食べ放題店を利用したことがある25〜59歳のタイの消費者です。研究チームは、食べ放題店をテーマにしたFacebookのコミュニティで参加者を募り、2026年1月1日から2月15日にかけてオンラインのアンケートを実施しました。分析の対象は、すべての質問に答えた385人の回答です。

アンケートでは、料理の質、雰囲気、味、接客、信頼、満足度など9つの側面から店への評価を尋ねました。SNSマーケティングについては、情報を見る楽しさ(娯楽性)、店とのやり取り、流行の話題性、口コミ(電子クチコミ)の4つの側面を尋ねています。店の「利用判断」は、利用したい気持ち、情報収集、他の店との比較、選んだ店への確信、利用後のレビューや推薦という5つの項目で測りました。いずれも5段階で答える形式です。

分析では、利用判断が回答者のグループごとに異なるかを比べ、店への評価やSNSマーケティングの各側面が利用判断とどの程度結びついているかを統計的に調べました。

主な結果

回答者の店への評価はどの側面も非常に高く、5点満点で平均4.722でした。SNSマーケティングの受け止め方も全体で平均4.677と高い水準でした。また回答者の65.71%が、店の情報源として最も主要なのはSNSだと答えています。

SNSマーケティングの4つの側面を同時に分析すると、利用判断と最も強く結びついていたのは口コミで、次いで流行の話題性、娯楽性の順でした。一方、店とのやり取りは、他の3つの側面を考慮すると利用判断と統計的に意味のある関連を示しませんでした。著者らは、やり取りの側面が他の側面と多くの部分で重なっていたことが、この結果に関係している可能性を挙げています。

店への評価が高い人ほど利用判断の得点も高いという関連も確認されました。一方で、年齢や収入などの個人の特徴や、利用の仕方による違いは、利用判断にはあまり見られませんでした。

研究が示すこと

この研究は、少なくとも調査対象となった人々の間では、店からの反応の速さよりも、他の客の口コミや最新の店の情報、楽しめる内容のほうが利用判断と結びつきやすいことを示しています。著者らは、飲食店のSNSを単なる宣伝の場ではなく、消費者が判断の材料を得る場として捉える見方を示しました。

ただし、著者ら自身が慎重な解釈を求めています。結果は一時点の調査で得た関連であり、因果関係を示すものではありません。回答が高得点に偏っていたことや、測定した概念どうしを十分に区別できなかったことも報告されています。また、結果を当てはめられるのは、このFacebookコミュニティで集めたデジタル利用が活発な消費者に限られ、タイの働く世代全体を代表するものではないとしています。そのうえで著者らは、店のオンライン情報が実際のサービスと一致していることの大切さを強調しています。

原著論文の著者・所属:Veeraphol Junum(Master of Business Administration Program, Faculty of Liberal Arts and Management Science, Kasetsart University, Chalermphrakiat Sakon Nakhon Province Campus, Thailand)、Kanyarat Sukhawatthanakun(Department of Business Administration, Faculty of Liberal Arts and Management Science, Kasetsart University, Chalermphrakiat Sakon Nakhon Province Campus, 47000, Thailand)、Supannika Supapon(Department of Business Administration, Faculty of Liberal Arts and Management Science, Kasetsart University, Chalermphrakiat Sakon Nakhon Province Campus, 47000, Thailand)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Veeraphol Junum, Kanyarat Sukhawatthanakun, Supannika Supapon. Social Media Marketing and Service Decision among Working-Age Consumers of Japanese Yakiniku Buffet Restaurants in Thailand. Asian Journal of Interdisciplinary Research 2026-09-01. DOI: 10.54392/ajir26312. 原著ライセンス:CC BY.