著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Journal of Advances in Biology & Biotechnology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
インド北東部アッサム州では、地域に古くから伝わる「サリ稲」と呼ばれる在来のイネが栽培されています。米の炊き上がりや食べたときの印象は、でんぷんの性質と深く関わっています。研究チームは、こうした在来品種の食味・炊飯品質の特徴を明らかにすることを目指しました。
調べた性質は主に3つです。1つ目はアミロース含量で、米のでんぷんを構成する成分の一つです。2つ目は糊化温度で、加熱したでんぷんが水を吸って糊状になり始める温度を指します。3つ目はゲルコンシステンシーで、米粉から作ったゲルの硬さや流れやすさを示します。著者らは、これらの性質が互いにどう関係しているかを調べました。その結果は、消費者に受け入れられやすい性質をもつ在来品種を育種家が選ぶ手がかりになりうると述べています。
どのように調べたか
試験は2025年の雨季作期に、アッサム州ティタボルのアッサム稲研究所で行われました。評価したのは、アッサム州のサリ稲11系統と、比較の基準となる5品種です。
試験の配置には「拡張乱塊法」という設計が使われました。多くの系統を比べる際に、基準品種を繰り返し配置して、畑の場所による差を補正できるようにする方法です。各区画には9株ずつの列を3列設けました。苗は育苗30日目に、20cm×15cmの間隔で植え付けられました。
主な結果
評価したイネのうち、アミロース含量が中程度(20〜25%)に分類されたものが7つ、高いものが4つでした。糊化温度は系統によってばらつきがあり、低いものが2つ、中程度が6つ、高いものが3つでした。ゲルコンシステンシーは、調べたすべての品種で「硬い」に分類されました。
性質どうしの関係を調べる相関分析では、ゲルコンシステンシーとアミロース含量の間に、統計的に非常に有意な負の関係が報告されています。ゲルコンシステンシーとアルカリ崩壊度の間にも、同様の関係が見られました。アルカリ崩壊度は、米粒をアルカリ溶液に浸したときの崩れ方で糊化の性質を見る指標です。
また、多くの性質のばらつきを少数の軸にまとめる主成分分析も行われました。その結果、たった一つの軸(主成分)で、データ全体のばらつきの83.303%を説明できたと報告されています。
研究が示すこと
著者らは、評価した在来品種の多くが、中程度から高いアミロース含量と中程度の糊化温度をもち、ゲルコンシステンシーはそろって硬いと結論づけています。調べた性質は互いに強く結びついており、一つの主成分でばらつきの8割以上をまとめられました。このことから著者らは、これらの性質を個別にではなく組み合わせて評価することが、米の品質改良に向けた在来品種の選抜に役立つ可能性があると述べています。
原著論文の著者・所属:Debasmita Nath(Department of Plant Breeding and Genetics, Assam Agricultural University, Jorhat-785013, India)、Sanjay Kumar Chetia(Directorate of Research (Agriculture), Assam Agricultural University, Jorhat-785013, India)、Jyoti Lekha Borah(Assam Rice Research Institute, Titabor, India)、Akashi Sarma(Department of Plant Breeding and Genetics, Assam Agricultural University, Jorhat-785013, India)、Akhil Ranjan Baruah(Department of Agricultural Biotechnology, Assam Agricultural University, Jorhat-785013, India)、Sunayana Rathi(Department of Biochemistry, Assam Agricultural University, Jorhat-785013, India)、Kishore Kumar Sharma(Department of Plant Breeding and Genetics, Assam Agricultural University, Jorhat-785013, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Debasmita Nath, Sanjay Kumar Chetia, Jyoti Lekha Borah, et al. Unravelling the Physicochemical Determinants of Cooking Quality in Traditional Sali Rice Landraces of Assam, India. Journal of Advances in Biology & Biotechnology 2026-10-28. DOI: 10.9734/jabb/2026/v29i114615. 原著ライセンス:CC BY.