著者の所属・活動拠点の国は、スリランカです。

掲載誌:Frontiers in Sustainable Food Systems

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

加熱済みのミートボールは、脂質の酸化や微生物の増殖によって品質が低下します。研究チームは、乳由来のホエイたんぱく質でつくる食べられる被膜に、植物のヒーン・ボヴィティヤ(Osbeckia octandra)の葉の抽出物を加え、品質の低下を抑えられるかを調べました。

さらに、酸性・アルカリ性の変化に応じて色が変わるマンゴスチン果皮の色素、アントシアニンを組み込み、鮮度を見た目で示す機能も検討しました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、乾燥させた葉から成分を抽出し、抽出時間による成分量の違いや、酸化に関わる物質を捕らえる働きを測定しました。その抽出物を、加熱したホエイたんぱく質の溶液に体積比で0、0.1、0.2、0.5、1.0、1.5、2.5%加え、計7種類の配合を作製しました。各実験は3反復で行いました。

溶液を乾燥させた膜について、引っ張ったときの強さや伸び、水への溶けやすさ、水蒸気の通しやすさなどを比較しました。また、被膜を施した加熱済みミートボールを室温の27±2℃で4日間、冷蔵の4℃で15日間保存し、pH、脂質の酸化、重量の減少、培養で数えた細菌数、色素の色の変化を調べました。保存中の結果は、葉の抽出物を加えない条件と比較しました。

主な報告結果

研究チームは、葉の抽出物を加えた条件では、加えない対照に比べて、保存中の脂質の酸化、重量の減少、細菌の増殖が抑えられたと報告しました。冷蔵15日目には、脂質の酸化生成物を測るTBARS値が対照で14.05 nmol MDA/gだったのに対し、抽出物入りでは1.19~2.01 nmol MDA/gでした。最も低かったのは、抽出物を2.5%加えた配合でした。

冷蔵15日目の重量減少率は、対照の17.38%に対し、2.5%配合では3.36%でした。同じ時点の細菌数は、対照が1 g当たり2.8×10⁵ CFUだったのに対し、抽出物入りの各条件では2×10⁴~5×10⁴ CFUでした。CFUは、培養して形成された菌の集落をもとに示す単位です。

膜そのものの性質では、研究チームは0.1%配合を、強さや伸び、水への溶けやすさなどのバランスが最もよい配合と評価しました。一方、保存試験で最も優れた劣化抑制を示したとされたのは2.5%配合でした。抽出物を多くすると水蒸気を通しにくくなりましたが、膜の引っ張り強さは低下し、水に溶けやすくなりました。

アントシアニンを組み込んだ被膜では、冷蔵保存の最初の7日間に、目で分かる色の変化は認められませんでした。

この報告が示すこと

著者らは、植物由来の抽出物をホエイ被膜に組み込むことで、加熱済みミートボールの品質低下を遅らせられると結論づけています。ただし、食品表面に塗る被膜としての保存性能と、単独で扱う包装用の膜としての丈夫さでは、適した配合が異なりました。2.5%配合の膜は、室温の水に24時間浸す試験で完全に溶けたため、著者らは独立した包装膜には不向きとしています。

鮮度を色で知らせる機能については、著者らも色素濃度の最適化を課題に挙げています。保存性を支える被膜の働きと、鮮度変化を目に見える形で知らせる働きは、分けて捉える必要があります。

原著論文の著者・所属:Saagarey Kartheevan(Department of Agricultural Chemistry, Faculty of Agriculture, University of Jaffna)、Thadchajini Kathirkamanathan(Department of Agricultural Chemistry, Faculty of Agriculture, University of Jaffna)、Sarathadevi Kirushanthan(Department of Agricultural Chemistry, Faculty of Agriculture, University of Jaffna)、Thatchaneshkanth Subramaniam(Department of Animal Science, Faculty of Agriculture, University of Jaffna)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Saagarey Kartheevan, Thadchajini Kathirkamanathan, Sarathadevi Kirushanthan, et al. Characterization of whey based edible coating enriched with heen bovitiya (Osbeckia octandra L.) for shelf-life extension of cooked meatballs. Frontiers in Sustainable Food Systems 2026-11-04. DOI: 10.3389/fsufs.2026.1831992. 原著ライセンス:CC BY.