この研究は、セントクリストファー・ネービス、アメリカ、ナイジェリアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Journal of Advances in Medicine and Medical Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
超加工食品は、米国の成人が摂取する食事の中でかなりの割合を占めており、これまでにいくつかの慢性疾患との関連が報告されてきました。一方で、大腸がんとの関係については、報告が限られており、結果も一致していないと研究チームは述べています。とくに、国全体を代表するような集団を対象とした知見は乏しい状況でした。
そこで著者らは、米国の成人を対象に、超加工食品の摂取と大腸がんの既往との間に関連があるかどうかを調べることを目的としました。
調べ方
研究チームは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)の2017年から2020年3月までのデータ(新型コロナウイルス流行前の期間)を用いた横断研究を行いました。横断研究とは、ある一時点の状況をまとめて観察する方法で、原因と結果の前後関係までは確かめられない設計です。
食事については、調査初日に実施された24時間思い出し法(前日に食べたものを聞き取る方法)で報告された食品を、加工の程度によって食品を分類するNOVAという方式に沿って分類しました。超加工食品の摂取量は、1日の総エネルギー摂取量に占める割合として表し、その多さによって4つのグループ(四分位)に分けています。大腸がんの既往は、医学的状態に関する質問票から把握しました。
解析には、全国を代表する推計が得られるよう重み付けを行ったロジスティック回帰を用い、年齢、性別、人種・民族、学歴、体格指数(BMI)、糖尿病、高血圧、喫煙状況、身体活動を調整したと報告されています。
主な結果
解析対象となったのは成人7,372人で、そのうち大腸がんの既往を報告したのは58人でした。重み付け後には、およそ2億3,240万人の米国成人に相当するとされています。大腸がんの重み付け有病率は、超加工食品の摂取割合による4グループ間で0.43%から0.89%の範囲でした。
摂取割合が最も低いグループを基準とすると、調整後のオッズ比は、2番目のグループで1.66(95%信頼区間0.45〜6.20)、3番目のグループで0.96(同0.31〜3.03)、最も高いグループで1.34(同0.47〜3.85)でした。いずれも統計学的に有意ではなく、信頼区間(推定値のぶれ幅を示す範囲)は広いものでした。
著者らは、この横断解析では超加工食品の摂取と大腸がんの既往との間に統計学的に有意な関連は認められなかったと結論づけています。同時に、大腸がんの該当者が少ないこと、信頼区間が広いこと、食事の聞き取りが1回のみであること、前後関係を確かめられないことが解釈上の制約であるとし、この結果を「関連が存在しない証拠」とみなすべきではないと明記しています。
この研究が示すこと
今回の報告は、全国を代表するデータを用いても、超加工食品の摂取と大腸がんの既往との明確な関連は確認できなかったことを示しています。ただし著者ら自身が述べるとおり、これは関連の不在を意味するものではなく、限られた条件のもとで得られた一つの観察結果として受け止める必要があります。
著者らは、繰り返しの食事評価と、検証された新規の大腸がん発症を指標とする、より大規模な前向き研究が必要だと述べています。データの規模や設計が結論の確かさをどこまで支えられるのかを併せて読むことの大切さを、この報告は示しています。
著者:Genevieve O. Onwughalu(Windsor University School of Medicine Canyon, Cayon, St Kitts and Nevis)、Blen W. Nedassa(Interfaith Medical Center, Brooklyn, New York, United States)、Joel Udoye(University of Nigeria College of Medicine, Nsuka, Anambra State, Nigeria)、Enemuo Henry Idinmachukwu(University of Nigeria College of Medicine, Enugu, Nigeria)、Okelue E. Okobi(Larkin Community Hospital, Miami, Florida, United States)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Genevieve O. Onwughalu, Blen W. Nedassa, Joel Udoye, et al. Association between Ultra-processed Food Consumption and History of Colorectal Cancer among U.S. Adults: A Cross-sectional Analysis of National Health and Nutrition Examination Survey (2017– March 2020). Journal of Advances in Medicine and Medical Research 2026-09-23. DOI: 10.9734/jammr/2026/v38i106214. 原著ライセンス:CC BY.