著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:ECOBIZTECH Journal of Economics Business and Technology

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

イスラム教の戒律に適った「ハラール」の食事は、ムスリムの旅行者を迎える観光地にとって重要な要素です。インドネシア・中部ジャワ州のスマラン市を対象にした今回の研究で、研究チームは、地域の飲食業を担う零細・小規模・中規模の事業者(MSME)に注目しました。

著者らが調べたのは三つの要因です。一つ目はデジタル技術の活用(デジタル・イノベーション)、二つ目はハラール認証、三つ目は「ペンタヘリックス連携」です。ペンタヘリックス連携とは、行政、大学などの学術機関、企業、メディア、地域コミュニティの五者が協力して事業者を支える取り組みを指します。研究チームは、これらの要因が事業者の競争力とどう関係するかを調べました。さらに、事業者の競争力を経由して、ハラール食観光の目的地としての発展にも間接的に結びつくかを分析しました。

調査の方法

調査の対象は、スマラン市の飲食店などの事業者150社です。対象には条件があり、創業から1年以上たっていること、少なくとも一つの業務でデジタル技術を使っていること、ハラール認証を取得済みか取得手続き中であることが求められました。回答したのは事業主または管理者で、質問票に「全くそう思わない」から「とてもそう思う」までの5段階で答えました。

質問票では、それぞれの要因を具体的な項目で測りました。デジタル・イノベーションは、デジタルマーケティング、SNS、オンライン販売サイト、電子決済の活用です。競争力は、製品の品質、革新、販売力、業績で測りました。観光地としての発展は、食の魅力、ハラール対応の設備、観光地のイメージ、旅行者の満足度で捉えました。

分析には、複数の要因の間の直接・間接のつながりを同時に推定できる統計手法(PLS-SEM、構造方程式モデリングの一種)が使われました。調査は一時点のものです。また、対象者は無作為ではなく条件に合う事業者から選ばれました。このため著者らは、結果を確定的な因果関係ではなく統計的な関連として解釈するとしています。結果も市内の飲食事業者全体ではなく、参加した事業者についてのものと位置づけています。

主な結果

論文の報告によると、デジタル・イノベーション、ハラール認証、ペンタヘリックス連携のいずれも、事業者の競争力とプラスの関連を示しました。また、事業者の競争力は、ハラール食観光の目的地としての発展ともプラスの関連を示しました。三つの要因はいずれも、競争力を経由して観光地の発展と間接的に結びついていることも示され、研究チームが立てた七つの仮説はすべて支持されたと報告されています。

研究チームが組み立てたモデルは、事業者の競争力のばらつきの71.2%、観光地としての発展のばらつきの68.4%を説明していました。調べた関係の中で最も強い関連を示したのは、事業者の競争力と観光地の発展の結びつきだったと著者らは述べています。

著者らは考察で、注意点も挙げています。デジタル化の効果は事業主のデジタルへの習熟度や経営力に左右される可能性があります。認証を取るだけで業績向上が保証されるわけでもありません。関係者が連携に加わるだけでは、取り組みがばらばらなら十分な効果は得られにくいとも指摘しています。

研究が示すこと

この研究は、地域の食を観光資源として育てるうえで、個々の飲食事業者の力を高めることが観光地全体の発展と結びついている可能性を示しています。その力を支える要素として、技術の活用、信頼できるハラール保証、分野を越えた協力が挙げられます。ただし、結果は一時点の調査で事業者自身が回答したものであり、スマラン市の参加事業者に基づくものだと著者らは断っています。

原著論文の著者・所属:Enik Rahayu(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata Indonesia, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)、Hendrajaya Hendrajaya(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata Indonesia, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)、Bambang Guritno(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata Indonesia, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)、Anisa Eka Khatarina(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata Indonesia, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Enik Rahayu, Hendrajaya Hendrajaya, Bambang Guritno, Anisa Eka Khatarina From MSME competitiveness to halal culinary tourism: the role of digital innovation, certification, and collaboration. ECOBIZTECH Journal of Economics Business and Technology 2026-10-12. DOI: 10.65881/ecobiztech.v2i1.212. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。