著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:Nutrition Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
食料不安とは、十分な量や質の食べ物を安定して手に入れられない状態を指します。研究チームは、この食料不安とストレスを同時に抱えると、栄養素をとりすぎたり不足したりして、記憶や判断などの認知機能に影響する可能性があると考えました。
そこで著者らは、多様な背景をもつ大学生を対象に、食料をどの程度安定して確保できているか(食料安全保障の状況)とストレスが、認知機能のいくつかの領域や食事内容と関連するかを調べました。研究チームは、食料の確保が不安定になるほど、またストレスが高くなるほど、認知機能や食事の質の指標が低くなると予想していました。
どのように調べたか
この研究は、ある一時点のデータを集めて分析する横断研究で、大学生230人が参加しました。認知機能は、ケンブリッジ神経心理検査自動化バッテリー(CANTAB)という、コンピューター上で行う一連の課題を使って領域ごとに評価されました。
食事の質と栄養素の摂取量は、Diet IDというツールで推定されました。あわせて、本人が感じているストレスの程度、食料安全保障の状況、社会的・人口統計的な情報も集められました。分析には、複数の要因を同時に考慮できる重回帰モデルが用いられ、食料安全保障の状況やストレスと、食事・認知機能の結果との関連が検討されました。
主な結果
参加者のうち31%が食料不安を経験しており、84%が中程度から高いストレスを抱えていました。また19%に、臨床的に意味のある水準の子ども時代の逆境体験がみられました。
食事については、ストレスが高いほど、カロテノイド、食物繊維、たんぱく質の摂取量が少ないという関連が報告されました。食料安全保障の状況は、ナトリウムとたんぱく質の摂取量の増加と関連していました。
認知機能では、評価した5つの領域のうち3つで違いがみられました。ストレスが高いほど、ケンブリッジ・ギャンブリング課題と迅速視覚情報処理課題の得点が低くなっていました。また、食料安全保障の状況が低い人では、遅延見本合わせ課題で判断までに長い時間がかかり、迅速視覚情報処理課題の得点も低いという関連がみられました。
この研究が示すこと
著者らは、食料安全保障の状況の違いやストレスの高さが、意思決定、衝動性、計画性といった認知機能のさまざまな領域と関連していたとまとめています。そのうえで、こうした関連がこの集団の食行動を理解する手がかりになりうると述べています。ただし、この研究は一時点の調査にもとづくもので、示されたのは関連であり、原因と結果の関係を確かめたものではありません。
原著論文の著者・所属:Marcela D. Radtke(Department of Nutrition, University of California, Davis, Davis, CA, USA; Aggie Compass, Office of Student Affairs, University of California, Davis, Davis, CA, USA; Department of Epidemiology and Population Health, Stanford University School of Medicine, Palo Alto, CA, USA)、Lisa G. Rosas(Department of Epidemiology and Population Health, Stanford University School of Medicine, Palo Alto, CA, USA)、Lan Xiao(Department of Epidemiology and Population Health, Stanford University School of Medicine, Palo Alto, CA, USA)、Naiman Khan(Department of Health and Kinesiology, University of Illinois Urbana-Champaign, Urbana, IL, USA)、Gwen M. Chodur(Department of Nutrition, University of California, Davis, Davis, CA, USA; Aggie Compass, Office of Student Affairs, University of California, Davis, Davis, CA, USA; Department of Psychology, University of California, Santa Cruz, CA, USA)、Leslie Kemp(Aggie Compass, Office of Student Affairs, University of California, Davis, Davis, CA, USA)、Francene M. Steinberg(Department of Nutrition, University of California, Davis, Davis, CA, USA)、Rachel E. Scherr(Scherr Nutrition Science Consulting, San Francisco, CA, USA; Family, Interior, Nutrition & Apparel Department, San Francisco State University, San Francisco, CA, USA. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Marcela D. Radtke, Lisa G. Rosas, Lan Xiao, et al. Food insecurity and stress are associated with cognitive function and dietary intake among college students. Nutrition Research 2026-09-13. DOI: 10.1016/j.nutres.2026.09.004. 原著ライセンス:CC BY.