著者の所属・活動拠点の国は、ウクライナです。

掲載誌:Technology audit and production reserves

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

搾油後に残るオーツ麦をケーキの材料に

研究チームは、オーツ麦から油を取り出した後に残る粉状の副産物を使い、ホテルや飲食店で提供するスポンジケーキの品質と経済性を高められるかを調べました。食品加工の副産物を活用しながら、食物繊維やたんぱく質などを含む材料をケーキに取り入れることが狙いです。

使用したのは、二酸化炭素を使ってオーツ麦の油を抽出した後に残る「オーツシードミール」です。研究チームは、この材料と小麦粉の性質を比較したうえで、小麦粉の一部または全部を置き換えたスポンジケーキを作製しました。焼き上がった製品の水分、重さ当たりの体積、水の吸いやすさ、崩れやすさを測り、味や香りなどの官能評価と製造費用の試算も行いました。

全量を置き換えても、膨らみと良好な風味を維持

研究チームによると、オーツシードミールは小麦粉に比べ、水を保持する能力がおよそ2倍、油を保持する能力が28.0%高い材料でした。赤外線を使った成分分析では、たんぱく質、食物繊維、フェノール性化合物の存在も示されました。著者らは、こうした成分や水・油を保持する性質が、生地の気泡や構造の安定に関わると考察しています。

小麦粉の20~50%を置き換えた製品では、重さ当たりの体積が対照のケーキより5.0~7.7%小さくなりました。一方、小麦粉を全量置き換えた製品の体積は、小麦粉を使った対照と同程度でした。全量置換の製品は官能評価も良好で、部分的に置き換えた場合には違和感として感じられたオーツ麦の風味が、製品全体になじむ味として受け止められたと報告されています。

ただし、置き換える割合が増すにつれて、水を吸いやすくなるとともに、崩れやすさも増しました。著者らは、ミールの粗い粒子や、小麦粉由来のグルテンが減ることなどが、この食感の変化に関係すると説明しています。

材料費の上昇と、副産物を生かす意味

経済性の分析では、ミールの使用によって製品100グラム当たりの材料費が21.0%増加したと報告されました。一方、製造原価で最も大きな割合を占めたのはミールや小麦粉ではなく卵で、その割合は64.8~83.0%でした。研究チームは、副産物の活用と製品への付加価値を踏まえ、飲食施設にとって経済的に成立し得る方法だと結論づけています。

この試算は、固定費を除き、変動費を原価に含める方法によるものです。論文は、経済性が生産規模、原材料の仕入れ価格、施設の価格設定によって変わることも示しています。今回の研究は、オーツ麦の搾油副産物が、スポンジケーキの膨らみや風味を保ちながら、小麦粉を置き換える材料になり得ることを示した報告です。

原著論文の著者・所属:Nadiia Lapytska(T. H. Shevchenko National University “Chernihiv Colehium”)、Olha Shevchenko(T. H. Shevchenko National University “Chernihiv Colehium”)、Tetiana Pshenychna(T. H. Shevchenko National University “Chernihiv Colehium”)、Larysa Mekh(T. H. Shevchenko National University “Chernihiv Colehium”)、Oleksii Shkliaiev(T. H. Shevchenko National University “Chernihiv Colehium”)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nadiia Lapytska, Olha Shevchenko, Tetiana Pshenychna, et al. Assessment of oat seed meal as a functional ingredient for the production of sponge cake semi-finished products in HoReCa establishments and the economic efficiency of the proposed solution. Technology audit and production reserves 2026-10-31. DOI: 10.15587/2706-5448.2026.372573. 原著ライセンス:CC BY.