著者の所属・活動拠点の国は、カナダです。
掲載誌:Canadian Journal of Diabetes
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
この研究は、カナダの中学1年生にあたる7年生の教室で行われた学校プログラムを取り上げたものです。プログラムは、アフリカやカリブ地域の食文化を中心に据えて、食について学ぶ「フードリテラシー」、菜園活動、体を動かす活動を組み合わせていました。フードリテラシーとは、食べ物を選び、調理し、食生活を整えるための知識や技能を指します。
研究チームの目的は二つです。一つは、プログラムの開始時と終了時で、生徒が自分で答えた食習慣、食事のとり方、身体活動がどのように違っていたかを記述することです。もう一つは、生徒がこのプログラムに参加してどのような経験をしたのかを探ることです。
何を調べたか
対象は、カナダ・オンタリオ州ロンドンの7年生27人です。2024年11月から2025年4月にかけて全10回のプログラムが実施されました。内容は、アフリカ・カリブ系の食文化を中心にした食の学習、文化的に身近な料理づくり、菜園活動、栄養教育、体を動かすウェルネス活動などでした。
研究チームは、プログラムの開始時と終了時にアンケートを行い、食習慣、食事のとり方、栄養に関する回答、身体活動をたずねました。あわせて、生徒が書いた振り返りの文章と、研究者が参加しながら観察した記録をテーマごとに分析しました。数値データと生徒の声の両方を用いる、いわゆる混合研究法による事例研究です。
主な結果
全体の集計を比べると、生徒の自己申告によるいくつかの指標で好ましい傾向が見られたと報告されています。全粒穀物をよく食べると答えた生徒は、開始時の29.6%から終了時には63.0%でした。でんぷん質の少ない野菜を食べると答えた生徒は37.0%から70.4%、週に3時間以上体を動かしていると答えた生徒は40.7%から66.7%でした。
生徒の振り返りや観察からは、料理への自信がついたこと、菜園活動や食べ物が食卓に届くまでの仕組みに関心を持ったこと、身体活動や心身の健康への意識が高まったことが挙げられました。また、アフリカ・カリブ系の文化を中心にした活動を通じて文化的な学びがあったことも示されています。
研究が示すこと
著者らは、プログラムの後に好ましい傾向と前向きな学習経験が観察されたとしています。ただし、対象者が少ないこと、プログラムに参加しなかった比較グループがないこと、結果が生徒自身の回答に頼っていることから、変化がプログラムによって生じたと結論づけることはできないと述べています。
そのうえで著者らは、文化に根ざし、実際に手を動かしながら学ぶフードリテラシー教育が、学校での栄養・健康教育の有望な方法になりうると考えています。この研究は、生徒の文化的背景を生かした食の学びが、教室でどのように受け止められたのかを示す一つの事例といえます。
原著論文の著者・所属:Cornelius K.A. Pienaah(Department of Geography and Environment, University of Western Ontario, London, Canada. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Cornelius K.A. Pienaah. Afrocentric Food Literacy, Gardening, and Physical Activity in a Canadian Grade 7 Classroom: An Exploratory Mixed-Methods Case Study. Canadian Journal of Diabetes 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.jcjd.2026.10.006. 原著ライセンス:CC BY.