著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:MAHESA Malahayati Health Student Journal

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

医学部の学生は、学業の負担が大きく、授業や勉強の予定が詰まりやすく、心理的なプレッシャーも受けやすいため、食事が不規則になりやすい集団だと考えられています。著者らは、食生活のよしあしが体の健康や学業成績にも影響しうることを背景に、どのような要因が学生の食生活と関わっているのかに注目しました。

この研究では、インドネシアのアル・アズハル・イスラム大学医学部に2025年に入学した学生を対象に、家庭の経済状況、性別、不安の程度という三つの要因が、それぞれ食生活のパターンと関連しているかどうかを調べています。著者らは序論で、経済状況がファストフードの摂取頻度や栄養状態と関係していたという先行研究や、不安が食欲の増減を通じて食事の質を下げることがあるとする先行研究を紹介し、これらの要因を取り上げた理由としています。

調査の方法

研究チームは、ある一時点で対象者の状態を調べる「横断研究」という方法を用いました。この方法では、要因と食生活が同時に見られるかどうか、つまり関連の有無は確かめられますが、どちらが原因でどちらが結果かまでは判断できません。

対象者は、あらかじめ決めた人数枠に沿って選ぶ「割当抽出」という方法で選ばれました。食生活のパターンと経済状況は質問票で調べ、不安の程度は、抑うつ・不安・ストレスを測るための質問票DASS-42を用いて評価しました。集めたデータは、二つの分類の間に偶然とは考えにくい関連があるかを調べるカイ二乗検定で分析され、p値が0.05未満の場合に統計的に意味のある関連とみなしました。

主な結果

回答者の60.0%は食生活のパターンが「良好」と判定され、同じく60.0%が経済状況「中程度」に分類されました。不安の程度が「軽度」と判定されたのは13人で、回答者の26.0%にあたります。

二つの要因の関係を一つずつ調べた分析では、経済状況と食生活の間(p値0.003)、および不安の程度と食生活の間(p値0.002)に、統計的に意味のある関連が認められたと報告されています。一方、性別と食生活の間では、p値が0.051と基準の0.05をわずかに上回り、統計的に意味のある関連は認められませんでした。

著者らは考察で、経済状況との関連について、収入の制約が十分で栄養のある食料を確保する力に影響するという「世帯の食料安全保障」の考え方と一致すると述べています。また、データ収集時の観察として、経済状況が低めの回答者は価格や手軽さを理由に、品数の限られた簡素な食事やインスタント食品に頼りがちだと話すことが多く、経済状況が高めの回答者はより多様な献立で栄養にも気を配る傾向があったと記しています。

性別について著者らは、男子学生と女子学生の食生活は比較的よく似ていたと解釈しています。その理由として、男女とも同じように過密な授業日程や課題の負担、食事時間の確保の難しさを抱えており、食べ物を体の必要量の違いよりも手軽さや入手しやすさで選んでいたという観察を挙げています。

研究が示すこと

この調査からは、医学部1年生の食生活が、性別よりも家庭の経済状況や不安の程度と結びついている可能性がうかがえます。ただし横断研究であるため、示されたのは関連であり、経済状況や不安が食生活を変えたという因果関係が確かめられたわけではありません。

著者らは、食生活の改善を考える際には、経済的な事情も踏まえ、栄養教育や手ごろな価格で健康的な食品を入手できる環境づくりを視野に入れる必要があると述べています。忙しく心理的な負担も大きい学生の食生活を、個人の心がけだけでなく、置かれた経済的・心理的状況と合わせて捉える視点を示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:I Putu Aditya Krisna Yoga(Fakultas Kedokteran Universitas Islam Al-Azhar)、Yolly Dahlia(Fakultas Kedokteran Universitas Islam Al-Azhar)、Wendy Handayani(Fakultas Kedokteran Universitas Islam Al-Azhar)、Irwan Syuhada(Fakultas Kedokteran Universitas Islam Al-Azhar)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):I Putu Aditya Krisna Yoga, Yolly Dahlia, Wendy Handayani, Irwan Syuhada Hubungan Status Ekonomi, Jenis Kelamin, dan Tingkat Kecemasan dengan Pola Makan pada Mahasiswa Fakultas Kedokteran Universitas Islam Al-Azhar Angkatan 2025. MAHESA Malahayati Health Student Journal 2026-10-30. DOI: 10.33024/mahesa.v6i11.25177. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。