著者の所属・活動拠点の国は、タイです。

掲載誌:Journal of Agriculture and Food Research

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

搾りかすを食品原料として利用するために

研究チームは、ココナツミルクを搾った後に残る固形物について、乾燥方法が処理効率、品質、微生物の数にどう影響するかを調べました。ココナツの搾りかすは水分が多く、脂質も残っているため、食品原料として利用するには、品質の変化を抑えながら乾燥させることが重要です。

比較したのは、熱風を使う方法と、沸騰して生じた水蒸気をさらに加熱した「過熱水蒸気」を使う方法です。どちらも、気体の流れで細かな粒子を浮かせ、動かしながら乾かす流動層乾燥という仕組みを用いました。

過熱水蒸気で乾燥時間と使用電力が減少

研究チームは、乾燥温度を130℃、145℃、160℃に設定し、二つの方法をそれぞれの温度で独立に3回ずつ試験しました。乾燥時間や電力消費に加え、白さ、水を吸って膨らむ性質、水を保持する性質、抽出できる油分、微生物の数を測定しました。

過熱水蒸気では、いずれの温度でも熱風より短時間で乾燥できました。130℃では、熱風の18分に対して過熱水蒸気は9分と半分になりました。一方、160℃ではそれぞれ6分と5.5分で、温度が高くなるほど両者の時間差は小さくなりました。

取り除いた水分の質量当たりの電力消費も、過熱水蒸気の方がすべての温度で有意に低くなりました。ただし、これは実際に試料を乾燥させている間の電力を比較した結果です。装置の立ち上げや予熱、試料を入れる前の蒸気生成などは含まれていません。

白さや微生物、水を保つ性質には違い

研究チームによると、過熱水蒸気で乾燥した試料は、熱風で乾燥した試料より白さの指標が高く、溶媒で抽出できる油分も多くなりました。これは抽出試験で得られた油分の違いであり、乾燥によって油そのものが増えたことを示すものではありません。

水を吸って膨らむ性質や水を保持する性質は、130〜145℃では二つの方法の間に有意な差がありませんでした。一方、160℃の熱風乾燥では、膨らむ能力と水を保持する能力が最も高くなりました。

微生物については、同じ温度で比べると過熱水蒸気の方が、試料にもともと存在した微生物の数を低く抑えました。一般生菌、大腸菌群、大腸菌、酵母・カビ、サルモネラを調べた結果、比較基準に用いたフィリピンのココナツ粉規格の検査項目をすべて満たしたのは、160℃の過熱水蒸気乾燥だけでした。

重視する品質によって変わる乾燥条件

著者らは、今回の実験室規模の比較では、160℃の過熱水蒸気乾燥が、短い乾燥時間、乾燥中の低い電力消費、白さ、抽出できる油分、検査した微生物基準への適合を両立したとまとめています。一方、水を吸って膨らむ性質や水を保つ性質を重視する場合には、160℃の熱風乾燥に利点がありました。研究は、ココナツ搾りかすの乾燥法を選ぶ際に、処理効率だけでなく、求める原料の性質も併せて考える意味を示しています。

原著論文の著者・所属:Jiraporn Sripinyowanich Jongyingcharoen(Department of Biosystems and Agricultural Engineering, School of Engineering, King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang, Bangkok, 10520, Thailand)、Pattawee Wutthigarn(Department of Biosystems and Agricultural Engineering, School of Engineering, King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang, Bangkok, 10520, Thailand)、Suluh Pambudi(Department of Biosystems and Agricultural Engineering, School of Engineering, King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang, Bangkok, 10520, Thailand)、Ekkapong Cheevitsopon(Department of Food Engineering, School of Engineering, King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang, Bangkok, 10520, Thailand)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jiraporn Sripinyowanich Jongyingcharoen, Pattawee Wutthigarn, Suluh Pambudi, et al. Integrated evaluation of superheated steam and hot air fluidized bed drying of coconut press cake: Impacts on energy efficiency, product quality, and microbial safety. Journal of Agriculture and Food Research 2026-09-16. DOI: 10.1016/j.jafr.2026.103307. 原著ライセンス:CC BY.