著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Antigen Jurnal Kesehatan Masyarakat dan Ilmu Gizi
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
インドネシアの小学校の食堂では、子どもたちが毎日のように軽食(ジャジャナン)を買って食べています。著者らによると、小学生は値段や味、色、手軽さで食べ物を選びがちで、安全性を十分に考えないため、大腸菌やサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌など、食中毒の原因となる細菌にさらされるおそれがあります。
ジャンビ市保健局は、市内の下痢の症例が2023年1〜5月の2,122件から、2024年の同じ期間には3,599件に増え、特に子どもがかかりやすいと発表しています。一方で、小学校の食堂の軽食が現行の基準を満たしているかについては、最新のデータが限られていました。
そこで研究チームは、ジャンビ市の国立小学校の食堂で売られている軽食の細菌汚染の程度を調べました。評価には、2023年に定められた保健大臣規則第2号の「環境保健品質基準」を用いました。この規則は、調理済みですぐに食べられる食品について、微生物の種類ごとに上限値を定めています。
何をどのように調べたか
調べたのは、食堂の複数の売り手から集めた4種類の軽食です。焼きそばのような麺料理「ミー・テッテッ」、ご飯料理「ナシ・グムッ」、魚のすり身を使った「プンペッ」、ソースを添えたソーセージの4つです。売り場に置かれた時間による違いを見るため、それぞれ午前8時と午前11時の2回採取しました。
検査では、食品1グラムあたりに含まれる細菌の数を数える「一般生菌数」を測りました。これは特定の菌の種類を見分けるのではなく、増殖できる細菌をまとめて数える方法です。あわせて、食べ物を扱う売り手の衛生状態と、食べ物の出し方について、チェックリストを使って観察しました。
主な結果
4種類すべての軽食から細菌が見つかり、朝と昼のどちらの時間帯でも汚染が確認されました。麺料理、ご飯料理、魚のすり身料理の3種類は1グラムあたり11〜335個の範囲で、いずれも朝より昼のほうが多くなっていました。たとえばご飯料理は朝が47個、昼が335個でした。
最も汚染が多かったのはソーセージで、朝も昼も1グラムあたり1万個を超え、数えきれないほどでした。著者らは、この値が2023年の規則で定められた大腸菌や黄色ブドウ球菌、セレウス菌などの上限を大きく上回るとして、ソーセージは基準を満たさないと判断しています。本来は冷たい温度で保存すべき冷凍食品が、食堂では28〜30度の室温に置かれていたことが、細菌が急速に増えた理由だと考察しています。
ほかの3種類については、細菌数は低めでした。ただし著者らは、現行の規則では一般生菌数だけでは合否を決められないため、基準を満たしているかを総合的に判断するには、個々の菌の種類を特定する必要があると述べています。
観察の結果、売り手の衛生状態と食べ物の出し方は、どちらも全員が基準を満たしていませんでした。せきをしているのにマスクをしていない売り手がいたほか、全員が調理済みの食べ物を素手で扱い、頭を覆うものを身につけていない売り手もいました。食器や容器に虫がついていたり、食べ物にふたをせずに並べていたり、手袋やトングを使わずに盛りつけていたりする様子も見られました。
研究が示すこと
著者らは、インドネシア各地で2021〜2025年に行われた同じような研究と比べ、軽食の細菌汚染はジャンビ市の一つの食堂だけの問題ではなく、さまざまな食べ物や地域で繰り返し見られると指摘しています。その根本には、食べ物を扱う人の衛生習慣や知識の不足があるとみています。
この研究は、規則がより厳しく改められても、それだけでは不十分だと伝えています。子どもたちが口にする食堂の軽食を安全にするには、現場の売り手が衛生的に食べ物を扱い、ソーセージのような冷凍食品を適切な温度で保存することが欠かせない、というのが著者らの結論です。
原著論文の著者・所属:Siska Pratiwi(Institut Kesehatan Mitra Bunda)、Nabila Randenia(Stikes Husada Gemilang)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Siska Pratiwi, Nabila Randenia Analisis Cemaran Bakteri pada Makanan Jajanan di Kantin Sekolah Dasar Negeri Kota Jambi. Antigen Jurnal Kesehatan Masyarakat dan Ilmu Gizi 2026-08-31. DOI: 10.57213/antigen.v4i3.1123. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。