離乳食(補完食)は、母乳やミルクだけでは足りなくなる生後6か月頃から少しずつ始まる、子どもの成長にとって大切な食事の時期です。近年、多くの低・中所得国では、加工されたスナック菓子や甘い飲み物が身近になり、食生活が大きく変化していると言われています。こうした市販の菓子や飲料は、エネルギーは高いものの栄養素は乏しいことが多く、栄養価の高い食品を置き換えてしまう可能性が指摘されています。今回紹介する研究は、ナイジェリア南西部の都市イバダンで、こうした食品が乳幼児期の食生活にどれくらい入り込んでいるのかを調べたものです。

この研究では、イバダン市内の一次・二次・三次医療施設を通じて集められた、生後6~24か月の子どもとその母親500組を対象に、施設ベースの横断調査が行われました。調査員が半構造化された質問票を用いて聞き取りを行い、「前日に何を食べたか」を尋ねる24時間思い出し法と、食品摂取頻度に関する質問票を組み合わせてデータを集めました。また、適切な補完食の実践については、WHO(世界保健機関)が2021年に示した乳幼児栄養指標を用い、補完食を適切な時期に始めているか、必要な栄養を満たす「最低限許容できる食事」がとれているか、さらに不健康な食品や加糖飲料を摂っていないか、という観点から評価されました。

約半数が前日にスナックを口にし、「適切な食事」の基準を満たした子はわずか2.6%

結果を見ると、調査時点の前日に、52.8%の子どもが市販のスナック食品を少なくとも1回摂取しており、21.4%が加糖飲料を摂取していたと報告されています。さらに1週間の範囲で見ると、この割合はそれぞれ81.0%、62.6%まで上がりました。スナックや飲料を与え始めた時期については、母親の87.7%が生後6~12か月の間にスナックを、86.0%が同じ時期に加糖飲料を導入したと答えており、そのうち46.9%は毎日スナックを、12.8%は毎日飲料を与えていたとされています。

一方で、補完食そのものは72.2%の子どもが生後6か月という適切な時期に開始しており、29.6%が「最低限許容できる食事」の基準を満たしていました。しかし、不健康な食品や甘い飲料の摂取状況もあわせて考慮すると、WHOの基準に沿った「適切な補完食」を実践できていた子どもは、わずか2.6%にとどまったと報告されています。

また、こうしたスナックや加糖飲料の摂取は、月齢が12~24か月の子ども(調整オッズ比2.54)、20~29歳の母親を持つ子ども(調整オッズ比2.65)、母親が中等教育を受けている場合(調整オッズ比2.16)、そして中位の社会経済階層の家庭(調整オッズ比1.78)で、統計的に有意に高かったことも示されています。

この研究を読むうえでの注意点

この研究は、ナイジェリア・イバダンの医療施設を利用した母子500組を対象とした横断研究であり、ある一時点での状況を捉えたものです。そのため、地域や調査対象の特性によって結果が左右される可能性があり、ここで得られた数値がほかの地域や国にそのまま当てはまるとは限りません。また、食事内容は聞き取りに基づいており、記憶や申告のしかたによる誤差も起こりえます。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意して読む必要があります。

著者らは、こうした結果から、市販スナック食品や加糖飲料の販売・広告に対する規制の強化、年齢にふさわしいスナックに関するより明確な国のガイドラインの整備、そして保護者向けの栄養教育の充実が必要だと提言しています。

まとめ

今回の研究では、ナイジェリア・イバダンの生後6~24か月の子どもの多くが、すでに市販のスナック食品や加糖飲料を日常的に口にしている実態が示されました。補完食を適切な時期に始めている子どもは7割を超える一方で、不健康な食品や甘い飲料の摂取まで含めて「適切な補完食」の基準を満たしていた子どもはごくわずかだったとされています。乳幼児期の食生活に市販の加工食品がどのように入り込んでいくのかを考えるうえで、示唆に富む調査結果だと言えそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ナイジェリア・イバダンにおける幼児期の市販スナック食品および加糖飲料への曝露と適切な補完食への示唆:横断研究(ビーエムシー・ニュートリション・2026年08月)