清涼飲料水やスポーツドリンクなど、砂糖で甘みをつけた飲み物(加糖飲料)は、長年にわたって食生活の中で摂取エネルギーや糖類の主要な供給源のひとつとされてきました。近年は健康志向の高まりや飲料メーカーの製品構成の変化などを背景に、こうした飲料の摂取量が変わってきたのではないかという関心が持たれています。今回紹介する研究は、米国で長期間にわたり行われている食事調査のデータを用いて、加糖飲料および加糖の炭酸飲料(コーラなどの加糖ソーダ類)からのエネルギーおよび糖類摂取量が、2003年から2023年にかけてどのように推移してきたかを検証したものです。

何を、どのように調べたのか

この研究では、米国国民健康栄養調査(NHANES)の2003年から2020年3月まで、および2021年8月から2023年8月までのデータが用いられました。対象は2歳以上の子どもから成人までの幅広い年齢層で、加糖飲料全体と、そのうち加糖の炭酸飲料に絞った摂取状況の両方が調べられています。線形回帰およびロジスティック回帰という統計手法を用いて、摂取している人の割合の変化と、1人あたりの摂取エネルギー量の変化という2つの側面から、長期的な傾向が分析されました。

研究でわかったこと

分析の結果、加糖飲料または加糖の炭酸飲料を摂取している人の割合は、2003年から2023年にかけて2歳以上の集団全体で有意に減少したと報告されています。年齢層別にみると、若年層(youth)で加糖飲料を摂取している割合は76%から44%へ、加糖の炭酸飲料を摂取している割合は56%から22%へと低下しました。成人でも同様の傾向がみられ、加糖飲料の摂取者割合は52%から32%へ、加糖の炭酸飲料の摂取者割合は42%から22%へと減少しています。

摂取している人だけでなく、集団全体でみた1人あたりの摂取エネルギー量も減少したとされています。若年層では、加糖飲料由来のエネルギーが1日あたり135キロカロリー、加糖の炭酸飲料由来のエネルギーが96キロカロリー減少しました。成人では、加糖飲料由来のエネルギーが89キロカロリー、加糖の炭酸飲料由来のエネルギーが75キロカロリー、それぞれ減少したと報告されています。著者らは、こうした一連の低下傾向は、食事に関する各種の推奨事項の方向性と一致するものだと述べています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は米国内の食事調査データに基づくものであり、対象や飲料の分類も米国の食生活を前提としています。したがって、ここで示された数値や傾向をそのまま日本の状況に当てはめることはできません。日本国内で加糖飲料の摂取がどのように推移しているかについては、この論文からは分かりません。また、著者らはいずれも化学規制・食品安全に関する研究機関に所属していますが、この所属自体から研究結論の妥当性を判断することはできません。今回の要旨で示されているのはあくまで摂取量や摂取者割合の推移という観察結果であり、こうした変化が健康状態の改善につながるかどうかを直接示すものではない点にも留意が必要です。一つの研究であり、これをもって加糖飲料摂取と健康に関する議論が確定したわけではありません。

まとめ

今回の研究では、2003年から2023年にかけて、米国の若年層・成人ともに加糖飲料および加糖の炭酸飲料の摂取者割合と1人あたりの摂取エネルギー量がともに減少してきたことが、長期の食事調査データから示されました。今後もこうした調査の継続によって、飲料摂取をめぐる食生活の変化がさらに明らかになっていくことが期待されます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Mary M. Murphy, Maribeth M. Anderson, Kelly Higgins. Trends in consumption of energy and total sugars from sugar-sweetened beverages in the United States among youth and adults, NHANES 2003–March 2020 and August 2021–August 2023. ニュートリション・アンド・ヘルス (2026). DOI: 10.1177/02601060261480196.