著者の所属・活動拠点の国は、ドイツ、ハンガリーです。

掲載誌:Innovative Food Science & Emerging Technologies

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

乾燥中の水分の偏りを捉える

研究チームは、凍った粒子を混ぜながらマイクロ波で乾燥させる過程で、水分がいつ、どこから失われるのかを調べました。凍結乾燥は、凍った溶媒を液体にせず気体に変えて取り除く方法です。マイクロ波を使うと乾燥時間を短縮できますが、粒子の集まりの内部で乾燥がどう進み、どの程度均一になるかは、十分に分かっていませんでした。

そこで著者らは、装置の運転中に中性子の透過画像を撮影し、水分量の時間変化と場所による違いを定量的に追えるかを検証しました。

粒子の大きさと混ぜる速さを変えて観察

実験には、マルトデキストリンという糖質の凍結粒子を使いました。粒子の大きさは2.2ミリメートルと3.6ミリメートル、粒子を混ぜるドラムの回転速度は毎分1.2回転と2.4回転とし、条件や撮影方法を変えた計5回の実験を行いました。溶媒には、中性子が透過しやすく、厚みのある試料を調べられる重水を使用しました。

研究チームは、中性子が試料を通る際にどれだけ弱まるかを、重水の量に換算しました。その際、容器や乾燥したマルトデキストリンの影響を差し引き、粒子同士の隙間も考慮しました。ただし、画像から分かるのは、各位置で奥行き方向に重なった重水の量であり、粒子一つひとつの含水量ではありません。

回転速度の違いは、乾燥速度より均一さに表れた

著者らは、乾燥中には場所ごとの水分量に違いが残るものの、そのばらつきは時間とともに小さくなったと報告しています。調べた条件では、回転速度による違いは全体の乾燥速度よりも、水分分布が均一になる過程に表れました。速く回した条件では、水分量のばらつきがより早く小さくなる傾向がありました。また、二つの粒子サイズの間で乾燥の進み方に大きな差は見られませんでしたが、大きい粒子では画像上の水分量のばらつきが広く、その一部には粒子の大きさと画像の解像度の関係も影響していました。

乾燥後には、すべての実験で粒子同士の隙間が減っていました。一方、粒子の丸さはおおむね保たれており、著者らは、粒子の並び替わりや詰まり方の変化が起きたと説明しています。条件ごとの独立した反復実験はないため、条件間の違いは初期的な傾向として位置づけられています。今回の研究は、中性子画像によって、水分が減る速さだけでなく、乾燥の偏りや粒子の集まりの構造変化も追えることを示しました。

原著論文の著者・所属:Mathias Hilmer(Technical University of Munich, School of Life Sciences, Department of Life Science Engineering, Food Process Engineering, Germany)、Sebastian Gruber(Technical University of Munich, School of Life Sciences, Department of Life Science Engineering, Food Process Engineering, Germany)、Zoltán Kis(HUN-REN Centre for Energy Research, Institute of Energy Security and Environmental Sciences, Budapest Neutron Centre, Hungary)、Michael Schulz(Heinz Maier-Leibnitz Zentrum, Technical University of Munich, Germany)、Petra Foerst(Technical University of Munich, School of Life Sciences, Department of Life Science Engineering, Food Process Engineering, Germany)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mathias Hilmer, Sebastian Gruber, Zoltán Kis, et al. From attenuation to solvent content: Operando neutron imaging of dynamic microwave freeze-drying. Innovative Food Science & Emerging Technologies 2026-09-15. DOI: 10.1016/j.ifset.2026.104800. 原著ライセンス:CC BY.