著者の所属・活動拠点の国は、イギリス、アラブ首長国連邦、トリニダード・トバゴです。

掲載誌:Fisheries Research

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

成熟する大きさを過去の記録と比較

研究チームは、カリブ海のトリニダードで漁獲されるレーンスナッパーという魚について、性成熟する体の大きさが過去からどう変わったかを調べました。この魚は地域の重要な水産資源ですが、成熟する大きさの推定値は、1987年に発表された研究以来、更新されていませんでした。

著者らは2017年10月から2020年8月にかけて、トゥナプナ魚市場で500匹を購入し、全長や体重、性別、生殖腺の成熟状態を調べました。体の大きさと成熟の関係から、同じ全長の魚の半数が成熟していると推定される長さ「L50」を算出しました。比較のため、1979~1981年に採集された過去の資料にも同じ統計手法を適用しました。

雌雄を合わせた成熟の目安が約16%低下

今回の調査で推定されたL50は、雄が全長23.06センチ、雌が24.58センチでした。雌は雄より大きくなってから成熟するという結果です。雌雄を合わせ、性別を判定できなかった未成熟魚も含めた推定値は23.74センチでした。

過去の資料を再解析したL50は28.23センチで、今回の値は4.49センチ、約16%小さくなっていました。両時期の推定値の不確かさを示す95%信頼区間は重ならず、著者らは成熟する大きさの低下を裏づける結果と報告しています。

変化の原因と資源管理への意味

著者らは、この変化を説明しうる仕組みとして、大きな魚を選択的に取り除く漁獲の影響と、環境に応じて成熟の仕方が変わる反応を挙げています。前者では、小さいうちに成熟する性質が世代を通じて広がる可能性があります。一方、水温などの影響でも、遺伝的な変化を伴わずに成熟する大きさが変わりえます。今回の研究では、これらを区別するために必要な年齢データがなく、原因を特定したわけではありません。

調査対象は、北西岸のかご漁で捕獲され、一つの市場で販売された魚に限られます。それでも、現在の成熟の目安が、法定の最小サイズである全長20.3センチを上回ることを著者らは示しました。今回の報告は、成熟する大きさの変化を把握することが、漁獲サイズの規制と魚の繁殖との関係を考えるうえで重要だと伝えています。

原著論文の著者・所属:Mark H. Tupper(Centre for National Parks and Protected Areas, University of Cumbria, Carlisle, UK; Terra Nexus, Nad Al Sheba, Dubai, United Arab Emirates)、Gianluc M. Robinson(University of Trinidad and Tobago, Chaguaramas, Trinidad and Tobago)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mark H. Tupper, Gianluc M. Robinson. Fishing down maturity: A 34-year decline in size at sexual maturity of lane snapper (Lutjanus synagris) in Trinidad, West Indies. Fisheries Research 2026-08-21. DOI: 10.1016/j.fishres.2026.107854. 原著ライセンス:CC BY.