著者の所属・活動拠点の国は、オーストラリアです。

掲載誌:Critical Reviews in Environmental Science and Technology

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

食品廃棄物に混じる汚染物質を調べる

食品廃棄物をアメリカミズアブの幼虫に食べさせ、資源として利用する取り組みが世界で広がっています。一方、消費後の食品廃棄物にはプラスチック片や残留しやすい化学物質が混じることがあり、食品や飼料、環境の安全性が課題になります。

著者らは既存の研究をまとめたレビューで、微細なマイクロプラスチックと、さらに小さなナノプラスチックが、この処理過程でどこへ移るのかを調べました。プラスチックに広く含まれ、廃棄物を通じて移動する可能性がある化学物質として、フタル酸エステル類、臭素系難燃剤、有機フッ素化合物の一群であるPFASも対象にしました。

粒子の大きさや化学物質によって異なる行方

レビューによると、アメリカミズアブの幼虫は、マイクロプラスチックへの曝露に比較的よく耐えることが示唆されています。大きめのマイクロプラスチックは通常、体外へ排出されますが、体内にとどまる時間はプラスチックの種類や粒子の大きさ、幼虫の体の組成によって異なります。一方、ナノプラスチックの挙動は、分析上の制約と実験的な証拠の少なさから、十分に分かっていません。

化学汚染物質の行方は、物質の化学的な性質に大きく左右されます。フタル酸エステル類は、幼虫を用いた処理系の微生物によって一部が変化する可能性がありますが、変化してできる物質の毒性上の意味は不明です。PFASが生物の体内に蓄積する傾向は研究間で一致せず、臭素系難燃剤の挙動もほとんど明らかになっていません。

幼虫が耐えられることと、汚染がなくなることは別

著者らは、多くの汚染物質が、幼虫のふんなどを含む処理残さに移ると報告しています。このため、土壌への蓄積や、食物連鎖への再流入が懸念されます。また、幼虫を回収した後の湯通しや乾燥も、物質の溶けやすさや結び付き方によっては、汚染物質を取り除くのではなく、分布を変える場合があります。

既存研究の多くは、汚染物質を実験的に添加しており、実際の食品廃棄物の状態を十分に反映していないと著者らは指摘しています。このレビューが示すのは、幼虫がプラスチックへの曝露に耐えられることだけでは、資源化の過程で汚染物質がなくなるとはいえず、幼虫と処理残さの両方でその行方を捉える必要があるという点です。

原著論文の著者・所属:Adam Kolobaric(Centre for Nutrition and Food Sciences (CNAFS), Queensland Alliance for Agriculture and Food Innovation (QAAFI), The University of Queensland)、Louwrens C. Hoffman(Centre for Nutrition and Food Sciences (CNAFS), Queensland Alliance for Agriculture and Food Innovation (QAAFI), The University of Queensland)、James Chapman(School of the Environment and Science – Chemistry and Forensic Science, Griffith University)、Daniel Cozzolino(Centre for Nutrition and Food Sciences (CNAFS), Queensland Alliance for Agriculture and Food Innovation (QAAFI), The University of Queensland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Adam Kolobaric, Louwrens C. Hoffman, James Chapman, et al. Plastics and associated chemical contaminants in black soldier fly larvae food waste bioconversion. Critical Reviews in Environmental Science and Technology 2026-09-15. DOI: 10.1080/10643389.2026.2730190. 原著ライセンス:CC BY.