「うすくち」「減塩」という名前を見ると、多くの人は塩気の少ない調味料を思い浮かべます。ところが食塩相当量を比べると、うすくちしょうゆ 低塩は100gあたり12.8g、こいくちしょうゆ 減塩は8.3gです。「低塩」と名のつくうすくちしょうゆ 低塩のほうが、「減塩」を名乗るこいくちしょうゆ 減塩より食塩相当量が高いという逆転が起きています。名前は色や香りの系統を示す言葉であって、塩気の量を保証する表示ではないというのが、まず押さえておきたい事実です。

この逆転の裏には、ナトリウム量の差があります。うすくちしょうゆ 低塩のナトリウムは5000mg、こいくちしょうゆ 減塩は3300mgです。食塩相当量はナトリウム量(mg)に2.54を掛け1000で割ってg換算した値なので、ナトリウムが多ければ食塩相当量も比例して上がります。うすくちは色を淡くするために塩分を多めに使う造り方をするとされ、その結果が数値にそのまま表れている形です。同じしょうゆ売り場でも、ラベルの「うすくち」「減塩」という言葉だけで選ぶと、思っていたのと逆の調味料を手に取ることになりかねません。

だしと酸味を「濃さ」の代役にする

では、しょうゆやみその使用量そのものを減らしたいとき、何が助けになるでしょうか。ここで効いてくるのがかつお・昆布だし 荒節・昆布だしです。食塩相当量はわずか0.1gですが、うま味成分のグルタミン酸を41mg(推定値)含んでいます。塩気そのものはほとんどないのに、うま味はしっかりある——この組み合わせが、少ないしょうゆやみそでも味の輪郭を保つ土台になります。

もう一つの助っ人が米酢です。食塩相当量は0g、酢酸を4.4g含みます。酸味は塩味そのものを増やすわけではありませんが、料理に酸味のアクセントを加えることで、しょうゆやみそを控えても物足りなさを感じにくくする使い方ができます。だしのうま味と酢の酸味、この二つを組み合わせることで、調味料の量を減らしても味の満足感を落とさない工夫が生まれるわけです。

ちなみに、うま味だしといっても中身は一様ではありません。顆粒中華だしは食塩相当量47.5g、ナトリウム19000mgと、和風の昆布・かつおだし(食塩相当量0.1g、ナトリウム34mg)とは塩分の持ち込み量がまったく異なります。同じ「だしを使う」という選択でも、何を選ぶかによって食塩相当量は大きく変わるため、置き換え先の製品ラベルも確認したいところです。

みそはどちらを選ぶか

米みそ 甘みそは食塩相当量6.1g、ナトリウム2400mgで、しょうゆ2種類より数値は低めです。ただしこれも甘みそという分類上の傾向であり、みそ全般が一律に低いわけではありません。「甘みそだから塩気が少ない」という前提ではなく、パッケージの食塩相当量の表示を確認する習慣が、しょうゆの逆転と同じ落とし穴を避ける近道になります。

毎日の食卓での取り入れ方

実践としては、まず汁物や煮物のだしを昆布・かつおだしでしっかり効かせ、そのぶんしょうゆやみその小さじ数を減らしてみることです。こいくちしょうゆ 減塩は小さじ1で約5.6g、米みそ 甘みそは小さじ1で約5.8gが目安になるので、「いつもより小さじ半分減らして、代わりに米酢を数滴」といった置き換えが試しやすいでしょう。酢の物や南蛮漬けのように酸味を前面に出す料理では、米酢のごく少量の酸味がしょうゆの塩気の少なさを感じさせにくくしてくれます。食塩相当量の目標量(成人30〜49歳)は男性7.5g以下・女性6.5g以下。日々の調味料選びでは、この目安と照らしながら、ラベルの名前ではなく食塩相当量の実数を確認する習慣をつけたいところです。

まとめ

「うすくち」「減塩」という言葉は、期待させる印象と実際の食塩相当量が一致するとは限りません。うすくちしょうゆ 低塩の12.8gとこいくちしょうゆ 減塩の8.3g、この差を知っているかどうかで調味料選びの精度は変わります。そして減らした塩気を埋めるのは、無理な我慢ではなく、うま味のあるだしと酸味のある酢の力です。次に手に取る調味料のラベルで、食塩相当量の欄にもう一度目を留めてみると、これまで気づかなかった数字に出会えるかもしれません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「ナトリウム」(厚生労働省)