みそ汁一杯、炒め物のひとかけの醤油。毎日くり返す小さな調味の積み重ねが、塩分摂取量を大きく左右する。ふだん感覚で選んでいるなら、どの調味料をどれだけ使うかを「数字で選ぶ」に変えるだけで、食卓の塩分バランスは着実に動く。

調味料の塩分、100gで並べると見えてくること

こいくちしょうゆの食塩相当量は100gあたり14.5g。一方、色が薄く料理の見た目を美しく仕上げると好まれるうすくちしょうゆは16.0gと、こいくちを上回る。色が薄い=塩分が少ないという印象は成分表の数字が否定している。減塩を意識してうすくちに切り替えるなら、この差は知っておきたい事実だ。

さらに、うすくちしょうゆ(低塩)は100gあたり12.8g。うすくち通常品(16.0g)より3.2g低く、こいくち(14.5g)と比べても1.7g少ない。「低塩」の表示は伊達ではなく、数字に確かな差がある。ただしこれらはすべて100gあたりの値。大さじ1杯(約18g)で換算すると、こいくち約2.6g・うすくち約2.9g・うすくち低塩約2.3gとなり、一度の使用量でみた差は0.3〜0.6g程度になる。使う量を少し絞ることと合わせて考えるのが現実的だ。

みその塩分格差——甘みそと辛みその開き

みそは種類によって塩分が大きく異なる。米みそ(甘みそ)の食塩相当量は100gあたり6.1g。大さじ1杯(約18g)では約1.1gとなる。

対してよく家庭で使われる米みそ(淡色辛みそ)は100gあたり12.4g、大さじ1杯(約18g)では約2.2g。甘みそ大さじ1杯(約1.1g)との差は約1.1g。みそ汁一杯につき大さじ1杯(約18g)を使うとして、一日2杯飲む家庭なら、甘みそに切り替えるだけで1杯あたり約1.1g×2杯=一日あたり約2.2g減らせる計算になる。甘みそ(西京みそなど)はこうじの量が多く塩分が少ないのが特徴で、独特のやわらかい甘さがある。みそ汁に限らず、炒め物や和え物のベースに使うと塩分を抑えながら風味を加えられる。

塩分ゼロのうま味で「量を減らす」を助ける

調味料を減らしたぶん味が薄くなると感じるときに役立つのが、塩分ゼロの素材を組み合わせる発想だ。トマトジュース(食塩無添加)の食塩相当量は100gあたり0g。煮込み料理やスープのベースに使えば、塩なしでも厚みのある味を作れる。トマトはグルタミン酸を含み、料理に自然なうま味を加えるとされる。また、日本人の食事摂取基準ではカリウムの十分量が設定されており、野菜・果物類を活用してカリウムを摂ることは減塩アプローチのひとつとして広く知られている。

明日からの小さな置き換え

まず試せるのは、家のみそを甘みそに変えること。次に、醤油はこいくちを基本に使い量を小さじ1杯(約6g、食塩相当量約0.9g)を意識すること。どうしてもうすくちしょうゆを使う場面では低塩タイプを選ぶと、100gあたりで3.2gの差がある。さらにトマトジュース(食塩無添加)をスープや煮物に取り入れれば、塩分ゼロで料理に厚みを加えられる。

調味料は毎日使うからこそ、銘柄・種類の選択が積み重なってくる。100gあたりの数字を一度確認するだけで、選び方の根拠が生まれる。数字を手がかりに選ぶ習慣が、食卓の塩分を着実に変えていく。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準