著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Food Research
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
著者は、ジャックフルーツを真空フライでチップスに加工すると、カロテノイドの量や種類の構成がどのように変わるかを調べました。カロテノイドは果肉に含まれる色素で、βカロテンなど、体内でビタミンAに変わるものもあります。
真空フライは、圧力を下げて比較的低い温度で揚げる加工法です。著者は、地域で販売されているチップスと熟した生の果肉を比較し、市販品に含まれる色素の特徴を明らかにしようとしました。
何を、どのように調べたか
熟したジャックフルーツを伝統市場で、市販チップスをインドネシアのマランにある事業者から入手しました。チップスは一つのブランドの製品で、研究室で同じ果実を揚げて加工前後を追跡した実験ではなく、生果と購入した加工品の比較です。
生の果肉50g、チップス10gからそれぞれ色素を抽出しました。光の吸収を測る紫外可視分光法でカロテノイドの総量を求め、成分を分離して調べる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で色素の構成を分析しました。測定はそれぞれ3回行い、水分量の違いを考慮して、総量を水分を除いた乾燥重量1g当たりで示しました。
主な報告結果
カロテノイドの総量は、生の果肉で乾燥重量1g当たり31.96±1.31µg、チップスで3.72±0.20µgでした。著者は、チップスでは生の果肉に比べて約88%少なかったと報告しています。
色素の構成にも違いがありました。HPLC分析では、生の果肉で19個、チップスで22個の色素のピークが検出されました。ただし、すべての成分が特定されたわけではありません。生の果肉で見つかったネオキサンチンやαクリプトキサンチンなどはチップスでは検出されず、一方、チップスではネオクロムやジシスβカロテンなどが確認されました。ピークが多いことは、カロテノイドの総量が多いことを意味しません。
著者は、チップスでは分子の一部の配置が異なる「シス型」の色素が増えたと報告しました。光の吸収を調べた結果でも、波長350nm未満の吸収が増えており、シス型の存在を示す変化と解釈しています。これらの結果を、加工中の加熱によって色素の分解や分子の形の変化が起きたことと結び付けています。
この報告が示すこと
著者は、真空フライに伴う加熱が、ジャックフルーツのカロテノイドの濃度と構成に影響したと結論付けています。また、シス型は対応するトランス型よりビタミンAとしての活性が低いと述べ、加工による変化を色素の量だけでなく、その形の違いからも捉えています。
ただし、調べた市販チップスの具体的な前処理は不明で、一部の色素も未同定でした。この報告は、購入したチップスの色素の特徴を生の果肉との比較から示したものです。
原著論文の著者・所属:K.B. Lewerissa(Food Technology Study Program , Faculty of Health Sciences , Satya Wacana Christian University , Jl. Kartini no. 11A , Central Java , Salatiga , 50711 , Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):K.B. Lewerissa. Effects of vacuum frying on carotenoid content and profile in fresh jackfruit pulp and jackfruit chips. Food Research 2026-11-05. DOI: 10.26656/fr.2017.10(6).137. 原著ライセンス:CC BY.