著者の所属・活動拠点の国は、ペルーです。

掲載誌:International Journal of Food Science & Technology

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

研究チームは、黄色パッションフルーツの果皮を粉末原料として活用するため、乾燥方法と温度が、水分の抜ける速さやフェノール性成分、抗酸化能にどう影響するかを調べました。果皮は食品加工の副産物で、食物繊維やペクチン、フェノール性成分を含みますが、水分が多いため、保存や原料化には乾燥が必要です。

注目したのは、温水の上に置いた薄いフィルムを介して食品を加熱する「リフラクタンス・ウィンドウ乾燥(RW)」です。研究チームは、この方式が果皮ピューレでも通常の温風乾燥より優れるのか、送風や超音波を組み合わせると性能が変わるのかを検討しました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、市場から入手した黄色パッションフルーツの果皮を洗浄して細かくし、ミキサーで均一なピューレにしました。試料は1回あたり約34グラム、厚さ5ミリメートルにそろえました。

比較したのは、温風乾燥、RW単独、RWと送風の併用、RWと超音波の併用、RWと超音波・送風の併用の5方式です。乾燥機または温水槽の設定温度を50、60、70、80℃とし、各条件の乾燥実験を4回ずつ行いました。水分の減少を追い、その推移を数式モデルで表しました。

成分分析用の試料は、モデルから見積もった時間で水分含有率10%まで乾燥させ、粉末にしました。乾燥前のピューレと乾燥後の粉末から成分を抽出し、総フェノール含量と、試験液中の反応を使って測る抗酸化能を比較しました。さらに、乾燥時間の短さ、総フェノール含量、抗酸化能の3項目を同じ重みで評価し、条件を総合的に順位づけしました。

主な報告結果

研究チームは、試したすべての温度で、通常の温風乾燥がRW単独より速く乾燥したと報告しました。例えば50℃で水分含有率10%に達するまでの時間は、RW単独で620±32分、温風乾燥で393±12分でした。乾燥方式による違いは低温側で大きく、温度が高くなると小さくなりました。

RWに送風を加えると、RW単独に比べ、乾燥の速さを表すモデル上の係数が38~83%高くなりました。一方、RWに超音波だけを加えても、有意な改善は認められませんでした。超音波と送風をともに加えた場合には、50~60℃で両者を組み合わせる相乗的な促進が報告されました。

乾燥後の総フェノール含量は、乾燥前の73~92%が保持されました。比較した条件のうち、総フェノール含量と抗酸化能がともに最も高かったのは80℃の温風乾燥でした。総フェノール含量は乾物1グラムあたり10.54±0.33ミリグラムの没食子酸相当量、抗酸化能は乾物1グラムあたり14.31±1.36ミリグラムのトロロックス相当量でした。これらは、それぞれの測定値を基準物質に換算して表した値です。

乾燥時間と二つの成分・品質指標を合わせた評価でも、80℃の温風乾燥が最上位となりました。

この報告が示すこと

著者らは、RW乾燥がどの食品原料でも温風乾燥より優れるわけではなく、原料の構造や組成に合わせて方式を選ぶ必要があると結論づけています。今回の果皮ピューレについては、多孔質で繊維質の構造を持ち、表面付近の水蒸気を取り除くことが乾燥を左右するため、送風が有効だったと説明しています。

今回の条件比較で得られた順位だけで、工業規模での方式選択が決まるわけではありません。著者らは、実際の選択にはエネルギー消費、設備投資、規模拡大に伴う費用も考慮する必要があるとしています。この報告は、乾燥の速さだけでなく、得られる粉末の成分も含めて原料に適した方法を選ぶ重要性を示しています。

原著論文の著者・所属:Eduardo Rurush(Unidad de Posgrado en Ciencias Agropecuarias, Universidad Nacional de Trujillo (UNT), Trujillo ,, Perú)、Meliza Lindsay Rojas(Centro de Investigación Avanzada en Agroingeniería, Universidad Privada del Norte (UPN) ,, Peru)、Alberto Claudio Miano(Centro de Investigación Avanzada en Agroingeniería, Universidad Privada del Norte (UPN) ,, Peru)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Eduardo Rurush, Meliza Lindsay Rojas, Alberto Claudio Miano. Refractance Window Drying of Yellow Passion Fruit Peel Puree: Effect of Hybrid Drying Configurations on Drying Kinetics and Bioactive Compound Retention. International Journal of Food Science & Technology 2026-10-31. DOI: 10.1093/ijfood/vvag233. 原著ライセンス:CC BY.