この研究は、中国の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Frontiers in Psychiatry
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
甘いものや脂っこいスナックがやめられない――そんな経験は多くの人にあるかもしれません。近年、超加工食品を過剰に摂取してしまう状態は「食物依存症(FA)」と呼ばれ、研究の対象となっています。特に、大うつ病性障害(MDD)を抱える人ではFAが多く見られることが知られていますが、青少年を対象とした研究はまだ限られているといいます。今回紹介するのは、うつ病のある青少年においてFAがどの程度見られ、どのような特徴と関連しているのかを調べた横断研究です。
研究でわかったこと
この研究では、2022年9月から2025年6月にかけて、うつ病と診断された青少年194名を対象に調査が行われました。参加者には、妥当性が確認された複数の尺度を用いて、食物依存症、うつ症状、不安、知覚ストレス、インターネット依存(IA)の程度が評価されました。得られたデータをもとに、どの要因がFAと独立して関連するのかを調べるため、段階的な回帰分析が行われました。
その結果、対象となったうつ病青少年のうち17.5%にFAが認められたと報告されています。さらに多変量解析では、BMI(体格指数)、不安の強さ、知覚ストレス、インターネット依存の4つが、FAと独立して関連する要因として同定されました。それぞれの指標が高いほど、FAを併存している可能性が高い傾向がみられたとされています。加えて、これら4つの要因を組み合わせた予測モデルは、FAの有無を判別する上で高い精度を示したと報告されており、その判別能力を表すAUC値は0.861であったとされています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、ある一時点での調査データをもとにした横断研究であり、BMIや不安、ストレス、インターネット依存とFAとの間に因果関係があることを証明するものではない点に注意が必要です。あくまで「関連が見られた」という報告であり、どちらが原因でどちらが結果かは、この研究だけでは判断できません。また、対象は特定の医療機関を受診したうつ病青少年に限られているため、結果がすべての青少年に当てはまるとは限りません。一つの研究であり、結論が確定したわけではないという前提で読むことが大切です。
とはいえ、この研究の著者らは、うつ病の青少年を診療する臨床現場において、こうした異常な摂食行動やそれに関連する心理社会的要因のスクリーニングを日常診療に組み込むことの重要性を指摘しています。
まとめ
今回の研究では、うつ病を抱える青少年の17.5%に食物依存症が認められ、BMI、不安、知覚ストレス、インターネット依存という4つの要因がFAと密接に関連していることが示されました。これらを組み合わせた評価は、FAを見分ける手がかりとして有用である可能性が示唆されています。今後、こうした知見がうつ病青少年へのより丁寧なケアにどうつながっていくのか、さらなる研究の積み重ねが注目されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):食物依存症を併存するうつ病青少年の臨床的特徴:横断研究(フロンティアーズ・イン・サイキアトリー・2026年08月)
著者:Liling Sun(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)、Lewei Liu(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)、Pei Tang(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)、Haojie Fan(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)、Mingru Hao(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)、Kai Zhang(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)、Huanzhong Liu(Department of Psychiatry, The Fourth Affiliated Hospital of Anhui Medical University)