著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Inovasi Pendidikan dan Teknologi Informasi (JIPTI)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、インドネシアのジャンビ地方に伝わる料理が、大学の調理職業教育にどのように取り入れられているかを調べました。郷土料理を文化として受け継ぐ教育について、知識だけでなく、関心や文化への評価、実際の調理技能も含めて把握することが目的です。学生の学習状況と、実習を進めるうえでの課題を検討しました。
何を、どのように調べたか
対象は、ムハマディヤ・ムアラ・ブンゴ大学の調理職業教育課程に在籍する学生全員の20人と、関連授業を担当する教員3人です。2025/2026年度の後期に、まず質問紙の数値データを分析し、その結果を教員への聞き取り、授業計画や教材の確認、実習の観察で掘り下げました。新しい授業法の効果を比較する実験ではなく、実施中の教育の状態を記述する研究です。
質問紙では、郷土料理を授業に取り入れることへの評価に加え、食材や調理法、料理の文化的背景についての知識、関心や文化への誇りを調べました。調理技能は、ジャンビ料理の実習4回で、材料の計量、基本的な調理技術、温度と時間の管理、盛り付けの4項目を2人の評価者が採点しました。
主な報告結果
研究チームが報告した学習の達成度は、関心や文化への評価などの面で90%、知識の面で82%、実習で評価した調理技能で76%でした。これらは各領域の評価を百分率で表した得点であり、達成した学生の割合ではありません。最も高い関心・態度と、最も低い調理技能には14ポイントの開きがありました。
また、郷土料理を取り入れた授業の実施状況に対する学生の評価は、4指標の平均で83.75%と、論文の分類では「非常に高い」水準でした。これは学習の達成度とは別の指標です。授業との関連性は90%だった一方、実習用の地元食材や器具の入手・利用状況は78%で、4指標の中では最低でした。
聞き取りと実習観察から、著者らは二つの主要な障害を挙げました。一つは、伝統料理の材料の分量や加熱温度について統一されたレシピがなく、経験や勘に頼る部分が大きいことです。実習でも、計量や温度管理の得点は盛り付けより低い傾向がありました。もう一つは、ジャンビ料理を扱う教材や実習手引きが乏しく、口頭で伝わる知識への依存によって、授業ごと、教員ごとに手順が異なることでした。
この報告が示すこと
著者らは、教育上の課題を学生の意欲不足ではなく、その意欲を調理技能につなげる教材や手順の整備にあると解釈しています。材料の重量、温度、調理手順を明記した実習教材を用意し、郷土料理について身につけるべき技能を教育課程に明示することを提案しました。
ただし、対象は一つの大学の一課程にいる20人であり、結果を広く当てはめるには注意が必要だとしています。また、一時点の状態を調べた研究なので、レシピや教材の未整備が技能の得点を低くしたという因果関係を検証したものではありません。この報告は、郷土料理の教育を捉える際、学生の関心の高さだけでなく、実際に調理する力を分けて見る意味を示しています。
原著論文の著者・所属:Fitria Retno Indarsih(Universitas Muhammadiyah Muara Bungo)、Ratih Juwita Novalia(Universitas Muhammadiyah Muara Bungo)、Vanesa Remania(Universitas Muhammadiyah Muara Bungo)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fitria Retno Indarsih, Ratih Juwita Novalia, Vanesa Remania. Minat Tinggi, Keterampilan Tertinggal: Kesenjangan Capaian Afektif Dan Psikomotorik Dalam Integrasi Etnokuliner Jambi Pada Kurikulum Pendidikan Vokasional Seni Kuliner. Jurnal Inovasi Pendidikan dan Teknologi Informasi (JIPTI) 2026-11-03. DOI: 10.52060/jipti.v7i2.4602. 原著ライセンス:CC BY.