子どもたちが毎日食べる給食。その栄養バランスはよく話題になりますが、給食メニューが環境にどれくらい負荷をかけているかを考えたことはあるでしょうか。近年、食と気候変動や水資源の関係に関心が高まる中、「持続可能な食生活」を幼児期から意識づけることの重要性が指摘されています。今回紹介する研究は、ある私立保育園で提供された給食メニューを対象に、季節ごとの環境負荷を調べたものです。

研究でわかったこと

この研究では、私立保育園で提供された給食メニューについて、温室効果ガス排出量(SGE)、水フットプリント、土地利用、エネルギー使用量を季節別に算出しています。温室効果ガス排出量と土地・エネルギー使用量はライフサイクルアセスメント(製品が作られてから廃棄されるまでの全過程で生じる環境負荷を評価する手法)を用いた先行研究を参考に、水フットプリントは「Water Footprint Network(水フットプリント・ネットワーク)」が開発した手法を参考にして計算されました。

その結果、メニューの温室効果ガス排出量は夏季に最も高く(2.59±0.22 kg CO2換算/kg)、秋季に最も低い(1.83±0.18 kg CO2換算/kg)ことが示されました。水フットプリントについても同様に夏季が最も高く(1544.68±110.30 L/kg)、冬季が最も低い(1141.13±65.12 L/kg)という結果になったと報告されています。

さらに、食材のエネルギー量やたんぱく質量は、温室効果ガス排出量・水フットプリント・土地利用・エネルギー使用量のいずれとも正の強い関連を示したとされています。また、メニューに占める動物性食品の割合が高くなるほど、これらの環境負荷指標が増加する傾向がみられたとのことです。

ただし論文では、動物性食品は生物学的価値の高いたんぱく質や、成長に不可欠な微量栄養素を含むため、子どもの食事において欠かせない構成要素であるとも述べられています。そのうえで、メニューを計画する際には子どもの栄養必要量を優先しながら、季節に応じた食材選びや、植物性・動物性食品のバランス、持続可能性の原則との調和が重要であると結論づけられています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、ある一つの私立保育園で提供されたメニューを対象にした事例研究です。要旨からは、対象となった保育園の規模や国・地域、調査期間などの詳細は明らかにされていません。得られた結果がほかの保育園や地域の給食にもそのまま当てはまるとは限らず、一つの研究であり結論が確定したわけではない点に留意して読む必要があります。

また、この研究は環境負荷の指標に焦点を当てたものであり、給食の栄養面での適切さや子どもの健康への影響そのものを直接評価したものではない点にも注意が必要です。

まとめ

今回紹介した研究では、保育園の給食メニューの温室効果ガス排出量や水フットプリントが季節によって変動し、動物性食品の割合が高いほどこれらの環境負荷指標が上昇する傾向が示されました。一方で、動物性食品は子どもの成長に必要な栄養素の供給源としても重要であるとされており、栄養面と環境負荷の両方を考慮したメニュー作りの難しさとバランスの大切さを示す事例といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:子どもに提供される給食メニューの温室効果ガス排出量、水フットプリント、土地・エネルギー使用に関する評価:ある保育園の事例(アカデミック・ギダ・2026年07月)