著者の所属・活動拠点の国は、オーストラリアです。
掲載誌:Patient Education and Counseling
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
世界的に乳がんと診断される人が増えるにつれ、診断後の健康管理、運動、食事や栄養についての情報を求める人も増えています。現在では、患者さんやその家族にとって、SNSや検索エンジンなどのオンライン上の情報が大きな情報源になっています。
しかし、こうしたオンライン上の情報がどの程度信頼できるのか、また医療の専門家や個人、団体などの発信者がそれぞれどのように関わっているのかについては、はっきりしていませんでした。そこで研究チームは、乳がんの診断後の栄養に関するオンライン情報の質を調べました。
何を調べたのか
研究チームは、数値による分析と内容の質的な分析を組み合わせる「混合研究法」を用いました。対象としたのは、Facebook、X、Instagram、TikTok、YouTube、Pinterest、Google、ChatGPTの8つのオンラインサービスです。研究チームが選んだ5つの検索語でそれぞれ検索し、上位10件の結果を集めました。
集めた内容からは、がんの診断後の栄養についての主張(「この食品がよい」といった内容)を取り出しました。それぞれの主張は、発信者の種類に応じて「医療の専門家」「個人のアカウント」「団体・組織」に分類されました。そのうえで専門家のパネルが、がん患者向けの栄養ガイドライン、複数の研究をまとめて検討した系統的レビュー、人を対象とした研究などの現在の科学的根拠と照らし合わせて評価しました。
主な結果
研究チームは、重複を除いた387件のコンテンツから、がんの栄養に関する151件の主張を取り出しました。そのうち、信頼できる根拠に裏付けられていた主張は全体の13%未満でした。
根拠に支えられた情報が最も少なかったのは、X、TikTok、Pinterestでした。比較的正確だったのはGoogle(33.33%)とChatGPT(30%)でしたが、それでも情報の質は比較的低いと論文は報告しています。
発信者別にみると、「医療の専門家」による主張の数は全体の中で最も少なくなっていました。ただし、共有された情報の正確さには、発信者の種類による統計的に意味のある差はみられませんでした。
研究が示すこと
著者らは、乳がん患者さん向けのオンライン上の栄養情報の大半は質が低く、現在のガイドラインに裏付けられていないと結論づけています。根拠に基づかない栄養の主張は、調べたすべてのサービスで見られ、どの種類の発信者からも発信されていました。
著者らは、誤解を招く健康情報に対処するため、メディアの情報を見極める力を高める教育的な取り組みと、科学的根拠に基づく情報をオンラインで広めるための十分な資源が必要だとしています。この研究は、オンラインで得た栄養情報を受け取るときには、その根拠を確かめることが大切だということを示しています。
原著論文の著者・所属:Negin Amin(School of Pharmacy and Biomedical Science, Adelaide University, Adelaide, Australia)、Kimberly Rhiann Lush(School of Medicine, Adelaide University, Adelaide, Australia; Robinson Research Institute, Adelaide University, Adelaide, Australia)、Bright Ahinkorah(College of Health, Adelaide University, Adelaide. Australia)、Joanne Bowen(School of Pharmacy and Biomedical Science, Adelaide University, Adelaide, Australia)、Wendy V. Ingman(Robinson Research Institute, Adelaide University, Adelaide, Australia; Discipline of Surgical Specialties, School of Medicine, Adelaide University, Adelaide, Australia)、Tania Crotti(School of Pharmacy and Biomedical Science, Adelaide University, Adelaide, Australia. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Negin Amin, Kimberly Rhiann Lush, Bright Ahinkorah, et al. Quality of nutrition information for breast cancer: A mixed-methods analysis of online information. Patient Education and Counseling 2026-08-09. DOI: 10.1016/j.pec.2026.109814. 原著ライセンス:CC BY.