著者の所属・活動拠点の国は、オーストラリア、ナイジェリアです。
掲載誌:Food Chemistry
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
牛乳の代わりとして、豆類などを原料にした植物性ミルクが広く飲まれるようになっています。この研究は、ソラマメを原料にした「ソラマメミルク」を取り上げ、原料の準備方法やカルシウムの添加によって、栄養面や物理的な性質、内部の構造、味わいの評価がどう変わるかを調べたものです。
本紹介は論文の抄録に記載された内容にもとづいています。
何を比べたのか
研究チームは、ソラマメから作った2種類の原料を使って、カルシウムを強化した風味付きのソラマメミルクを試作しました。1つはソラマメを水で抽出した「水抽出物」、もう1つはソラマメからタンパク質を取り出して濃縮した「タンパク質分離物」です。
これらのミルクについて、栄養面のほか、タンパク質が水に溶ける度合い(溶解性)、液中の粒子の大きさ、とろみの指標となる粘度、色合いといった物理化学的な性質を調べました。さらに、加工後のタンパク質の状態や、ミルク内部の構造も分析しています。あわせて、消費者に試飲してもらい、どの程度好まれるかを評価する官能評価も行いました。
主な結果
著者らの報告によると、タンパク質分離物を使ったミルクは、水抽出物を使ったミルクに比べてタンパク質の含有量が多く、粒子が大きく、粘度も高くなりました。一方、水抽出物を使ったミルクは、タンパク質の溶解性が高く、色がより鮮やかでした。
カルシウムの強化では、100ミリリットルあたり約106ミリグラムのカルシウム量となり、市販のカルシウム強化植物性ミルクと同程度の水準になったと報告されています。ただし、カルシウムを加えると粒子の大きさが11〜27%増え、見かけの粘度も53〜113%高くなりました。
構造の分析からは、ソラマメの主要なタンパク質成分は加工後もおおむね保たれていること、そしてカルシウムの添加によってミルク内部がより詰まった構造になることが示唆されました。
官能評価では、消費者の受け入れ度は中程度でした。そのなかで、カルシウムを強化したサンプルが最も高い好感度を得たと報告されています。
この研究が示すこと
著者らは、これらの結果が、カルシウムを強化したソラマメミルクにおける構造と性質の関係を理解する新たな手がかりになるとしています。原料の選び方やカルシウムの添加は、栄養面だけでなく、とろみや粒子の大きさ、構造にも関わります。豆類を使った乳製品の代替品づくりには可能性がある一方、配合上の課題もあることを、この研究は示しています。
原著論文の著者・所属:Olaide A. Akintayo(School of Agriculture, Food and Wine, Adelaide University, Glen Osmond, Adelaide, SA 5064, Australia; Department of Home Economics and Food Science, Faculty of Agriculture, University of Ilorin, PMB 1515 Ilorin, Nigeria. Electronic address: [email protected])、Olivia G. Cormack(School of Agriculture, Food and Wine, Adelaide University, Glen Osmond, Adelaide, SA 5064, Australia. Electronic address: [email protected])、Robert J. Falconer(School of Chemical Engineering, Adelaide University, North Terrace, Adelaide, SA 5000, Australia. Electronic address: [email protected])、Juanita C. Lauer(School of Agriculture, Food and Wine, Adelaide University, Glen Osmond, Adelaide, SA 5064, Australia. Electronic address: [email protected])、Hayriye Bozkurt(School of Agriculture, Food and Wine, Adelaide University, Glen Osmond, Adelaide, SA 5064, Australia. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Olaide A. Akintayo, Olivia G. Cormack, Robert J. Falconer, et al. Influence of faba bean extraction and calcium fortification on the physicochemical, structural, and sensory characteristics of faba bean-based milk. Food Chemistry 2026-08-11. DOI: 10.1016/j.foodchem.2026.150715. 原著ライセンス:CC BY.