著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Springer Link (Chiba Institute of Technology)
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: Crossref
研究の目的
アルビラ(学名 Phaseolus lunatus L.、ライマメ)は、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州で重要な在来の豆です。ただし、この豆には、有毒なシアン化水素(HCN)を放出しうるシアン生成化合物が含まれています。このことが、食材としての利用を限られたものにしています。
研究チームは、アルビラを下処理し、大豆などを発酵させて作る食品であるテンペにする過程に注目しました。その過程の後にHCNがどの程度残るかを調べることが、この研究の目的です。抄録によると、黒色と赤色の2種類のアルビラを使い、大豆とアルビラを異なる割合で混ぜたテンペで比較しています。
何をどう調べたか
比較の基準として、大豆だけで作ったテンペを用意しました。これに加えて、アルビラの色(黒・赤)と配合比を組み合わせた試験区を設けています。配合比は大豆とアルビラの割合で75対25、50対50、25対75、0対100の4通りです。色2通りと配合比4通りのすべての組み合わせを、それぞれ独立した2回の仕込みで作りました。
製造工程は次のとおりです。まず豆を24時間水に浸します。次に、ゆで汁を取り替えながら2回ゆでます。皮を除いた後、もう一度24時間浸し、蒸します。最後に2%の種菌を加えて発酵させます。HCNの量は、水蒸気蒸留で取り出した成分を硝酸銀溶液で滴定する方法で測定しました。
主な結果
アルビラを含むテンペでは、HCNの平均値が黒アルビラで1キログラムあたり約20〜28ミリグラム、赤アルビラで約13〜30ミリグラムの範囲でした。
大豆を使わずアルビラだけで作った場合の結果も報告されています。黒アルビラではHCNが1キログラムあたり971.58ミリグラムから28.27ミリグラムに、赤アルビラでは815.18ミリグラムから17.50ミリグラムに下がりました。減少率はそれぞれ97.09%と97.85%です。
統計解析では、アルビラの色、大豆との配合比、そしてその二つの組み合わせのいずれについても、HCNの値への影響が検出されました。
この研究が示すこと
著者らは、一連の下処理とテンペ発酵を通すことでHCNが大きく下がったと結論づけています。また、アルビラだけを使った場合でも大幅な減少が得られたことから、HCNを大きく減らすうえで大豆を混ぜる必要はなかったとしています。
そのうえで著者らは今後の課題として、浸す・ゆでる・発酵させるといった個々の工程がそれぞれどれだけ減少に寄与したのかを切り分けること、そして栄養、微生物、味や食感、食品としての安全性といった品質面を評価することを挙げています。この研究は、地域の豆をテンペに加工する一連の工程の後に、HCNの量が大きく下がっていたことを示した報告といえます。
原著論文の著者・所属:Agnes V. Simamora(Department of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Nusa Cendana)、Lince Mukkun(Department of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Nusa Cendana)、Mayavira V. Hahuly(Department of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Nusa Cendana)、Petronella S. Nenotek(Department of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Nusa Cendana)、Luh Putu Ravi Cakswindryandani(Department of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Nusa Cendana)、Yosep Nahak Seran(Department of Biological Education, Faculty of Education and Teacher Training, Universitas Timor)、Enos Tangke Arung(Department of Forest Products, Faculty of Forestry, Universitas Mulawarman)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Agnes V. Simamora, Lince Mukkun, Mayavira V. Hahuly, et al. Effective Detoxification of Cyanogenic Arbila (. Springer Link (Chiba Institute of Technology) 2026-10-14. DOI: 10.1051/bioconf/202625908006. 原著ライセンス:CC BY.