著者の所属・活動拠点の国は、ケニアです。
掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite
研究の目的
品質を検査で確かめるだけでなく、経営戦略の一部として位置づける考え方を「戦略的品質管理」と呼びます。継続的な改善、顧客重視、工程の最適化、経営層の関与などを組み合わせて品質を高めようとするものです。著者らは序論で、こうした取り組みが製造業の効率や競争力と結びついているという海外の先行研究を紹介しています。
この研究は、ケニア中部のニエリ郡にある清涼飲料メーカーを対象に、戦略的品質管理の実践が工場や会社の「業務成果」にどう影響するかを明らかにすることを目的としています。特に注目したのは、顧客の苦情への対応や意見の収集、顧客ニーズの社内共有といった「戦略的顧客管理」です。
調べた方法
研究チームは、ニエリ郡の清涼飲料メーカー20社を対象としました。各社の業務部門、マーケティング部門、人事部門の責任者、合計60人に質問票への回答を依頼しています。対象が少ないため、一部を抽出せず全員を調査する方法をとりました。
回答者は、「苦情処理の手順と仕組みがある」「顧客ニーズを定期的に見直し、社内で共有している」といった顧客管理に関する項目や、「顧客に費用対効果の高いサービスを提供している」といった業務成果に関する項目について、どの程度同意するかを5段階で答えました。著者らはこの回答をもとに、二つの関係の強さを測る相関分析と、一方からもう一方をどの程度説明できるかを調べる回帰分析を行いました。
主な結果
顧客管理に関する項目では、回答者はおおむね「同意する」側の評価をしていました。たとえば、苦情処理の手順と仕組みがあるという項目の平均は5点満点で3.774でした。業務成果に関する項目では、費用対効果の高いサービスを提供しているという項目の平均が4.261と最も高くなりました。
論文は、戦略的顧客管理と業務成果のあいだに「非常に強い」関係があったと報告しています。相関係数は0.868で、統計的に意味のある関係とされました。回帰分析では、業務成果のばらつきの73.5%が戦略的顧客管理によって説明できるという結果が示されています。顧客管理の評価が1高いと、業務成果の評価が0.660高くなるという関係も報告されました。
著者らはこれらの結果から、戦略的顧客管理はこの地域の清涼飲料メーカーの業務成果に有意な影響を与えていると結論づけています。
研究が示すこと
この研究は、調査した清涼飲料メーカーの責任者のあいだで、顧客の声を集めて生かす取り組みと業務成果の評価とが強く結びついていたことを示しています。これを踏まえて著者らは、各社の経営陣に対し、苦情処理の手順と仕組みを整えること、顧客アンケートなどで苦情を一貫して追跡すること、ISO認証を受けた主要な仕入れ先と長期的な関係を築くことを提言しています。
原著論文の著者・所属:Peter Gichunju Mwangi(School of Business and Entrepreneurship (SOBE), Department of Business. Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology, P.O. Box 62000 - 00200, Nairobi Kenya .2School of Business and Entrepreneurship (SOBE), Department of Business. Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology, P.O. Box 62000 - 00200, Nairobi Kenya)、Dr. Elizabeth Nambuswa、Dr. Albert Wanambisi
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Peter Gichunju Mwangi, Dr. Elizabeth Nambuswa, Dr. Albert Wanambisi. Strategic Quality Management Practices on Operational Performance of Soft Drink Manufacturing Firms in Nyeri County, Kenya. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-09-29. DOI: 10.5281/zenodo.23035837. 原著ライセンス:CC BY.