著者の所属・活動拠点の国は、スペインです。
掲載誌:Journal of Functional Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
糖尿病では、血糖値が高い状態が続くことで、心臓や血管の病気、目の網膜の障害、腎臓の障害、神経の障害など、さまざまな合併症が起こることがあります。近年、日常的に飲まれているコーヒーがこうした合併症に影響するのではないかという関心が高まっています。
今回紹介する論文は、この問題について発表されてきた科学的な研究をまとめて整理した総説(文献レビュー)です。著者らは、コーヒーの摂取が糖尿病の合併症の予防や管理にどう関わるのかについて、これまでの知見を総合的に検討しました。
何を調べたのか
著者らが注目したのは、コーヒーに含まれる主な生理活性成分であるカフェインとクロロゲン酸です。クロロゲン酸はコーヒー豆に多く含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用をもつ成分として知られています。
論文では、これらの成分が血糖のコントロールやインスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなる状態)にどう影響するかを整理しました。あわせて、心血管疾患、網膜症、腎症、神経障害、そして代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(代謝の異常と関連して肝臓に脂肪がたまる病気)といった糖尿病の合併症との関係も取り上げています。
主な報告結果
カフェインがインスリンの効きやすさに与える影響については、研究によって結果が分かれていると論文は報告しています。長期間の試験では、インスリンの効きやすさに加え、体内の酸化ストレスや炎症の指標が改善する可能性が示されているものの、ここでも相反する結果があるとされています。
一方、クロロゲン酸については、血糖を下げる有望な作用が示されており、その抗酸化能力によって血糖コントロールを助ける可能性があると著者らはまとめています。
合併症との関係では、適度なコーヒーの摂取が心血管疾患のリスク低下と関連していることが示されていると報告されています。ただし、これは関連であり、コーヒーが直接リスクを下げると確かめられたという意味ではありません。網膜症、腎症、神経障害、肝臓の病気への影響については、これらの病気を評価するために特に計画された実験研究や疫学研究がごく少なく、結論は出ていないとされています。
この研究が伝えること
この総説からは、コーヒーと糖尿病の合併症の関係について、心血管疾患のように一定の関連が見られる分野がある一方で、まだ十分に分かっていない分野も多いことが伝わってきます。著者らは、コーヒーの成分と糖尿病の合併症との複雑な関わりを明らかにするには、さらなる研究が必要だと述べています。
原著論文の著者・所属:Minerva Granado-Casas(Center for Biomedical Research on Diabetes and Associated Metabolic Diseases (CIBERDEM), Instituto de Salud Carlos III, 08907 Barcelona, Spain; DAP-Cat Group, Unitat de Suport a la Recerca Barcelona, Fundació Institut Universitari per a la Recerca a l'Atenció Primària de Salut Jordi Gol i Gurina (IDIAPJGol), 08007 Barcelona, Spain; Department of Nursing and Physiotherapy, University of Lleida, 25198 Lleida, Spain; Health Care Research Group (GReCS), IRBLleida, 25198 Lleida, Spain)、Didac Mauricio(Center for Biomedical Research on Diabetes and Associated Metabolic Diseases (CIBERDEM), Instituto de Salud Carlos III, 08907 Barcelona, Spain; DAP-Cat Group, Unitat de Suport a la Recerca Barcelona, Fundació Institut Universitari per a la Recerca a l'Atenció Primària de Salut Jordi Gol i Gurina (IDIAPJGol), 08007 Barcelona, Spain; Department of Endocrinology & Nutrition, Hospital de la Santa Creu i Sant Pau, IR Sant Pau, 08041 Barcelona, Spain; Faculty of Medicine, University of Vic (UVic-UCC), 08500 Barcelona, Spain)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Minerva Granado-Casas, Didac Mauricio. Effects of coffee consumption on the prevention and management of diabetic complications: a comprehensive scientific review. Journal of Functional Foods 2026-10-27. DOI: 10.1016/j.jff.2026.107556. 原著ライセンス:CC BY.