著者の所属・活動拠点の国は、オランダです。

掲載誌:Economy and Society

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

資本主義とは異なる経済実践はどう広がるのか

研究チームは、資本主義とは異なる経済のあり方を志向する実践が、どのように広がり、社会を変える力を持つのかを検討しました。注目したのは、商品の特徴と、消費者がその商品に引きつけられる仕組みです。

従来の研究は、活動の規模を拡大することや、場所によって異なる変革の道筋に目を向けてきました。著者らは、それだけでは、扱う商品の特徴が実践の広がり方をどう左右するかを十分に捉えられないと考えました。

二つのビール醸造所から見えた違い

研究チームは、カタルーニャのエコ・コミュニティにある二つのビール醸造所を検討しました。商品の特徴や価値づけを通じて消費者との結びつきを考える「質の経済」という枠組みを用い、経済の変革という観点から捉え直しました。

論文は、二つの醸造所に異なる仕組みが見られ、その一方は従来の枠組みから外れていたと報告しています。違いの軸となったのは、商品の特徴をそろえる「標準化」と、地域固有の条件や人間以外の生きた存在の働きに応じる「翻訳」です。ここでの「翻訳」は、言語の置き換えではなく、それぞれの土地の条件に即して実践を形づくる考え方として示されています。

規模の拡大だけではない広がり方

著者らは、標準化と翻訳が、それぞれ異なる変革の進め方を支えていたと論じています。前者は規模の拡大に、後者は地域の生態的な条件に根ざす「エコ・ローカリゼーション」に結びついていました。

この研究が示すのは、経済実践の広がりを、同じ商品や仕組みを大きく展開することだけでは捉えきれないという点です。商品がどのような特徴を持ち、地域とどう関わるかによって、変革の道筋も異なると論文は伝えています。

原著論文の著者・所属:Elisa Schramm(Faculty for Human Geography , Urban Planning and International Development Studies , University of Amsterdam , Nieuwe Achtergracht 166 , 1018 WV Amsterdam , Netherlands)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Elisa Schramm. Post-capitalist beer: Economies of qualities, scaling and diffusion in Catalan eco-communities. Economy and Society 2026-08-27. DOI: 10.1080/03085147.2026.2689260. 原著ライセンス:CC BY.