著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

食の描写から、人と場所のつながりを探る

文学作品に登場する料理や食事は、登場人物の記憶や家族の習慣、移住先での暮らしと結びついています。著者はインドのコルカタを事例に、こうした食の描写を場所や歴史と関連づけることで、文化やアイデンティティーをどう読み解けるかを探っています。

発表の中心は、文学の食に関する記述をデジタル地図上で捉える「文学的食文化地図」の分析枠組みです。食を象徴として読むだけでなく、人、場所、歴史、感情を結ぶものとして理解することを目指しています。

作品の記述を、意味と場所に結びつける

著者が示した手順では、まず作品から食に関する記述を取り出し、記憶、宗教、階級、移住などの主題を付け、関連する場所を対応づけます。その情報をデジタル地図などで整理し、元の文章の文脈に立ち返って解釈します。単に料理の登場回数を数えるのではなく、食を通じた関係を捉える方法です。

具体例として、著者は小説『その名にちなんで』に登場する魚の煮込み料理「マチェル・ジョル」を挙げています。この料理への言及を家族の儀礼という文脈やコルカタ北部と結びつけ、食と記憶のまとまりを読み取る流れを示しました。

地図を、文学を読み直す手がかりに

著者が提示したのは、食の描写から文化の記憶へと読み進めるための方法です。デジタル技術が解釈を自動的に生み出すのではなく、文章を丁寧に読む作業と組み合わせることで、解釈の可能性を広げると位置づけています。

この発表は、文学の中の食を、料理そのものにとどまらず、暮らしの場所や受け継がれる記憶とのつながりから読み直す視点を示しています。

原著論文の著者・所属:Biswas, Srabani(Indian Institute of Technology Jodhpur)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Biswas, Srabani. Digital Narratives, Culinary Identity and Cultural Engagement: Mapping Food Cultures in Contemporary Literary Contexts. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-08-22. DOI: 10.5281/zenodo.22062422. 原著ライセンス:CC BY.