お腹の調子を整える食習慣として、酢を使った飲み物を思い浮かべる方もいるかもしれません。ただ、こうした食品由来の飲料が実際の排便状況にどの程度関わるのかは、科学的な検証を経て初めて確かなことが言えます。今回紹介するのは、軽い便秘傾向がある健康な成人を対象に、酢飲料を4週間毎日飲んでもらい、排便の状態や腸内細菌の様子を調べたランダム化二重盲検プラセボ対照試験です。

研究でわかったこと

対象となったのは、1週間の排便回数が3〜5回という軽度の便秘傾向を持つ健康な成人44名です。参加者は酢飲料を飲むグループとプラセボ(見た目や味を似せた対照飲料)を飲むグループにランダムに割り付けられました。誰がどちらを飲んでいるかは参加者にも研究者にも分からないようにした上で、朝食時に4週間毎日、試験用の飲料を摂取してもらいました。なお、参加人数はこの研究を実施できる規模として設定されたものです。

主要な評価項目である4週目時点の排便回数は、酢飲料グループの方がプラセボグループより有意に多い結果でした(p=0.042)。一方、それ以外の副次的な項目については、複数回の比較による誤差を補正しない探索的な解析が行われました。その結果、すべての測定時点を通じて一貫した差は見られませんでした。ただし摂取開始から1週目に限っては、排便回数(p=0.007)、排便のあった日数(p=0.021)、便の量(p=0.043)で改善を示唆する変化が観察されています。

腸内細菌の多様性については、介入の前後で有意な変化は確認されませんでした。また、この試験の期間中、酢飲料の摂取に関連する有害事象は報告されていません。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

論文の著者らは、これらの結果について、酢飲料の毎日の摂取が軽度便秘のある健康な成人の排便状態を改善する可能性を示すものだとまとめています。あわせて、腸の健康維持に向けた食習慣上の一つの選択肢になりうると位置づけています。

ただし、この研究にはいくつか留意すべき点があります。まず副次的な項目の解析は、多重比較の補正を行わない探索的なものであり、1週目に見られた変化についても「改善を示唆する」という慎重な表現にとどめられています。また参加人数は44名と大規模なものではなく、実施可能性を踏まえて決められた規模である点も踏まえて読む必要があります。この結果はあくまで一つの研究によるものであり、これだけで効果が確定したと言い切ることはできません。

まとめ

今回の試験では、軽度の便秘傾向がある健康な成人が酢飲料を4週間毎日摂取したところ、4週目の排便回数がプラセボと比べて有意に多くなったことが報告されました。一方で腸内細菌の多様性には目立った変化がなく、副次的な項目も時点によって結果にばらつきがありました。今後さらに研究が積み重ねられることで、食習慣と排便状態の関係についての理解が深まっていくことが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:酢飲料の摂取は便秘傾向のある健常成人の排便状態を改善する:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(サイエンティフィック・リポーツ・2026年08月)

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。